時計はもう午前零時を回っている。
離陸し水平飛行に移ると、軽いおつまみと飲物が出される。
ほとんどの人は座席を水平に倒し、寝る準備を始めている。
隣では彼女もお休みモード。
そこでアミューズでシャンパーニュ。
続いて笹寿司をもらって食べながらシャンパーニュ。
深夜便では到着前の朝御飯しか出ないので、軽食をアラカルトで頼むことになる。
映画を観ていると面白くて、増々眠れなくなる。
そこでまたシャンパーニュ。
気が付くと、映画を二本も観てしまった。
彼女は隣ですやすやと寝息を立てている。
私も照明を全て落として映画を観ているので、写真を撮る時だけ読書灯を付けている。
徹夜はきついので、私もそろそろ寝ることにしよう。
ところが、横になったらすぐにキャビン・アテンダントの皆さんが現れ、朝食の準備を始める。
お目覚めのドリンクを飲んでいると、手際よく朝食が届けられた。
搭乗時に和食か洋食かを選んでいたのだ。
日常生活では朝食はウエスタンなのだが、深夜便の朝食だけは胃に優しい和食を選んでいる。
御飯にお味噌汁。
そして香の物、煮物に酢の物と和の食材が並ぶ。
でも、一晩中食べ飲み続けたので、そんなに食べることは出来ない。
どんどん元気に箸が進む彼女がうらやましい。
迎えの車に乗り、ホテルに着いてもまだ朝食レストランも開いていない時間。
部屋は前夜から取っているので、すぐにチェックインし、部屋に入る。
『フォー・ポインツ・バイ・シェラトン』はバンコクでは新しくできたホテルなので、内装もとても綺麗。
バスルームとベッドルームの間の壁が引き戸になっていて開くのが楽しい。
でも彼女はバスを使う時に、「絶対に開けちゃ駄目よ」、と私に厳命する。
軽くシャワーを浴び、お昼までの数時間を休むことにする。
旅を楽しむためには、無理をしないことが肝要。
このまま買い物や観光に行ったりすると、午後のスパで爆睡してしまうことになる。
では暫し、お休みなさい。