日本橋三越本店新館にある、『代官山ASO チェレステ 日本橋』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
クレマン・ド・ブルゴーニュ、ロゼのあとは、アルフォンス・メロの白ワイン。
コトー・シャリトワ、レ・ペニタン、シャルドネ、2009年。
アルフォンス・メロはロワール・サンセール地区で19代続く名門。
そのアルフォンス・メロが、サンセールとブルゴーニュ・シャブリ地区の中間にあるコトー・シャリトワで造る、シャルドネ。
「今夜は、泡も白も私が好きなワインばかりね」と、彼女は嬉しそう。
私も好きなワインなので、セラーに2006年が1本入っている。
アンティパストは、北海道産真鱈と白子のボリート、タイムの香り、山菜のフリットとバーニャカウダの軽いソース。
ボリートは、ピエモンテ州の肉と野菜を煮込んだ郷土料理。
フランスワインを飲んでいるので忘れてしまっていたが、ボリート、フリット、バーニャカウダと聞いて、ここがイタリアン・レストランであることを思い出した。
最初のパンはフランスのパンだったが、次に届いたパンはイタリアのフォカッチャ。
プレーン、ゴマ、トマト、オリーブの中から、トマトとオリーブを選ぶ。
プリモ・ピアットは、ホンビノス貝と春菊のタリオリーニ、からすみのアクセント。
ホンビノス貝は、以前は白ハマグリと呼ばれていた貝で、東京湾で獲れる美味い貝である。
パスタが出されたので、間違いなくイタリアンだ。
赤ワインは、スッド・ウエスト、マディランの人気の造り手、ドメーヌ・アラン・ブリュモンのシャトー・ブースカッセ、レ・メンヒル、2007年。
アラン・ブリュモンはタナ種のぶどうから造られるワインの素晴らしさを世界に認めさせた功労者で、マディランの帝王と呼ばれている。
「え、アラン・ブリュモンなの。タナは強すぎて苦手なのに」と彼女。
タナの語源がタンニンと言われるだけあって、タナ100%のワインは非常に濃く強いのだ。
「大丈夫、このシャトー・ブースカッセのレ・メンヒルはタナとメルローが50%ずつなので強すぎないよ」と私。
セコンド・ピアットは、牛ほほ肉のポルト酒煮込み、オレンジ香るチャンポッタとポレンタ。
盛り付けが美しい。
チャンポッタとは、南イタリアの野菜のごった煮。
牛ほほ肉はとろけるように柔らかく、しっかりとした旨味があるので強い赤ワインとの相性が良い。
トウモロコシの粉で造られたポレンタを使うとは面白い。
チャンポッタはトマトがメインで作られており、とても上品。
ドルチェの時間。
メロゴールドのセミフレッド、白ワインのムースと共に、塩飴のアクセント。
柑橘の香りが素晴らしい。
メロゴールドは、文旦とグレープフルーツを掛け合わせて作ったフルーツ。
「ASOに行くなら代官山か銀座で充分だと思ってたけど、チェレステ日本橋の料理は思った以上に素晴らしかったわね」
「サービスも良いし、ここなら使い勝手も良さそうだね」
「ワインも美味しかったから、ちょっと飲み過ぎたみたい。少し歩きたい」と彼女。
手をつなぎ、再び日本橋を渡り、外堀通りを日本橋高島屋方向に歩く。
日本橋界隈も再開発が進み、綺麗になった。
あとは日本橋に覆いかぶさる首都高が地下化されれば、この街は一層美しくなる。
彼女と過ごす日本橋の夜は素敵に更けていきました。