中目黒の人気のフレンチ、『クラフタル』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
大土橋シェフの料理と川上マネジャーが選ぶワインのペアリングを楽しんでいる。
3種類目のワインは、マルセル・ダイスが造る、アルザス・ブラン、2015年。
マルセル・ダイスは1945年設立で、現当主は三代目。
アルザス地方に初めてテロワールの概念を持ち込んだ信念の人と言われている。
強い果実味が前面に出ているが、甘みが後に残らないので料理にもよく合う。
ぶどうが何なのか彼女と意見を交わすが、わからない。
聞いてみると、わかるはずがないセパージュ。
ピノ・ブラン、リースリング、ゲヴェルツトラミネールが合わせて70%、ピノ・ノワール、ピノ・グリ、シルヴァネールが合わせて30%。
三皿目の料理は、白とオレンジの美しい色彩。
コウイカの冷製薄造り、とでも呼べばよいのだろうか。
コウイカを冷凍し、薄くスライス。
付け合わせのタンポポの苦みが春を感じさせる。
合わせるパンは、ふわふわ。
ソースを掬って食べると最高に美味。
4種類目のワインを見て驚く。
イタリア、シチリアのペッレグリーノが造る、マルサラ・スーペリオーレ、ガリバルディ・ドルチェ。
ここで甘いフォーティファイドワインを使ってくるとは。
「次の料理はきっとフォアグラね」と彼女。
「良い読みだと思うよ」と私。
濃い琥珀色の甘いマルサラ。
ペッレグリーノは1880年にシチリア島のマルサラに設立された名門。
オーク樽で2年以上熟成され、アルコール度数は18%。
ぶどうは、シチリアの地ぶどうのグリッロとカタラット。
四皿目は、驚きの料理。
敷き詰められた緑の上には、ガラスの保管容器。
植物の培養室から持ってきたような料理。
黒い腐葉土に見えるのは、黒トリュフ。
その下のクリームの中には、たっぷりのフォアグラ。
黄土色のフォアグラが少し見えている。
パンは料理ごとにペアリングで出される。
どの料理にどんなパンが合わされるのかも楽しみ。
5種類目のワインは、赤を予想していた。
ところが出されたワインは、ボルドー、サン・ジュリアンのシャトー・タルボー、カイユ・ブラン、2013年。
メドック地区最上の白の一つと言われているワインである。
こんな素晴らしい白は、どんな料理に合わせて選ばれたのだろう。
色合いは綺麗な黄金色。
凝縮された果実味に、蜂蜜のニュアンス。
仄かな樽香も心地よい。
ソーヴィニヨン・ブラン主体に、セミヨンが加えられている。
バリックで醸造されており、新樽比率は30%。
中目黒の人気のフレンチ、『クラフタル』で彼女と過ごす素敵な夜は、続きます。