東麻布のフレンチ、『クラフト・ワイン N』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
四種類目のワインは、ボジョレーの赤。
マルセル・ラピエールのレザン・ゴーロワ、2015年。
フランス自然派ワインの父と言われたマルセル・ラピエールが急死したのは2010年。
今は長男のマチュー・ラピエールが引き継ぎ、素晴らしいワインを生み出している。
自然派の旗手、プィリップ・パカレがマルセルの甥であることは有名な話。
「美味しい。もう一杯飲みたいわ」と彼女。
そこで、追加で更に飲むことにする。
「マルセル・ラピエールが亡くなったあと、彼が造った最後のボジョレー・ヌーヴォーを一緒に飲んだね」と私。
「覚えていないわ。何処で飲んだのかしら」と彼女。
「2010年の11月に、銀座の『シルヴェラード』でだよ」
「貴方の記憶力には本当に驚かされるわね」
「覚えているのは、君と一緒に飲んだワインだけだよ」
メイン料理は、バルバリー鴨のロティ、赤ワインと牛蒡と無花果のソース。
旨味が詰まった鴨が最高に美味。
ソースもとても良く合う。
パンは、てごねパン。
これが本当に美味しい。
五種類目、最後のワインはデザートワイン。
ニュージーランドのブラッケンブルック・ワイナリーが造る、シャングリラ、ゲヴェルツトラミネール、アート・シリーズ、2013年。
ブラッケンブルック・ワイナリーは、南島の北端のワイン産地、ネルソンにあるブティック・ワイナリー。
この絵は、ニュージーランドの有名な風景画家、マリリン・アンドリュースの作品。
滑らかなビロードの舌触り。
豊かな果実味と綺麗な余韻。
ほのかに甘い、素晴らしいゲヴェルツトラミネール。
デザートは、ガトー・ショコラ。
チョコレートの香りが素晴らしい所をみると、温められているようだ。
ガトー・ショコラというよりフォンダン・ショコラ。
チョコレートが濃厚で、とても美味しい。
満足した思いで、店を後にする。
麻布十番まで来ると、コーヒーを飲むことにする。
驚いたことに、幾つかのコーヒーショップはもう営業終了。
やっと見つけたお店は、『ホノルル・コーヒー』。
何を飲むかメニューを検討。
彼女はと見ると、ケーキのショウウィンドウを覗き込んでいる。
天井には、優雅に回る芭蕉扇。
コーヒーを注文していると、ケーキのショウウインドウを見ていた彼女が、「モカシフォンケーキもお願いします」。
「え、まだデザートを食べるの?!」
「だって、美味しそう」と彼女。
これで彼女がどうしてこんなにスリムなのか不思議だ。
彼女はマカデミアナッツ・フレーヴァー・コーヒー。
私は、本日のコナ・ブレンド・コーヒー。
独特の香りが鼻腔をくすぐる。
彼女と過ごす、東麻布、麻布十番の楽しい夜は、素敵に更けていきました。