銀座のフレンチ、『アイコニック』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
泡、白、白と飲んだあとは、ボルドーの赤。
シャトー・ベアール・ラ・シャペル、サンテミリオン、グラン・クリュ、2008年。
サンテミリオンは好きな産地、そのグラン・クリュとは嬉しい選択。
強いボディを持ちながら、シルキーで洗練されている。
これは好みでかなり美味い。
セパージュは、メルロー90%、カベルネ・フラン10%。
メルローの平均樹齢は60年。
新樽、1年落ち、2年落ちの樽1/3ずつを用い、12ヶ月間熟成させている。
肉料理は、フランス・ブルターニュ産うずら、山菜、きゃべつ、セップ茸のジュ。
うずらは好物。
もっと食べたいとも思うが、今夜は品数が多いので結構お腹はいっぱい。
添えられているマッシュポテトは、うずらの卵をイメージしている。
お口直しは、金柑、生姜、フロマージュブラン。
金柑、生姜が入ったフロマージュブランは爽やかで口直しには最適。
ソムリエの吉野さんが現れ、ディジェスティフにポートをどうぞとテーブルに届けてくれた。
ロゼス、ポート、トゥニー。
ボトルの撮影を忘れたので、これは別の機会に飲んだ同じもの。
ロゼスはボルドーのネゴシアンがポルトガルで設立したポートのメーカーなので、フランスで人気が高い。
実は彼女は甘いポートがあまり好きではない。
その様子を見た吉野さんが急いで別のボトルを持ってきてくれた。
こちらをどうぞと注いでくれたのは、ジャン・ポール・メッテのフレーズ・デ・ボワ。
野イチゴのリキュール。
ジャン・ポール・メッテはアルザスに本拠地を置く、オー・ド・ヴィー界の第一人者。
確かに美味いが、これも彼女が苦手な甘いリキュール。
ここでデセールが届く。
セザムノワショコラ。
黒ゴマとチョコレートのガナッシュ。
困った吉野さんが私に助けを求める。
そこで、彼女も好きなカルヴァドスを出してもらう。
ルモルトン、ヴュー・カルヴァドス、ドンフロンテ。
ルモルトンのカルヴァドスは本当に美味い。
普通のカルヴァドスはシードル(リンゴ)主体で造られるのだが、ルモルトンのはポワレ(洋梨)の比率が高く、香りが一際良いのだ。
少量生産で人気が高く、フランスでも一流レストランでしか飲むことが出来ない希少なカルヴァドスである。
三種のミニャルディーズ。
伊達巻アールグレー、黒豆サングリア大福、田作りフロランタン。
ミニャルディーズまで正月料理をイメージした作りとなっている。
「今夜のお料理も美味しく楽しかったわね。ありがとう」と彼女。
「鈴木シェフの料理は本当に素晴らしいね。独創性に富み、遊び心があって、それでとても美味しいのだから文句なしだね」と私。
エレベーターホールで、横山支配人、鈴木料理長、吉野ソムリエの見送りを受け、今夜の礼を述べて店をあとにする。
今夜は飲み過ぎてしまった。
特にディジェスティフは、彼女がポートも野イチゴのリキュールも飲まなかったので、私が合わせて4杯も飲んでしまった。
ワインも4種類をたっぷり飲んでいるし、最後の強いカルヴァドスも効いている。
そこで夜の銀座をしばらく散策することにする。
銀座東急プラザを過ぎ、晴海通りを進む。
天賞堂のキューピットは今夜もかくれんぼ。
前回会った時はサンタの帽子を被っていたが、今夜はまた裸に戻っている。
グッチのショウウインドウは遅い時間でも明るく輝いている。
彼女と過ごす銀座の夜は素敵に更けて行きました。