西麻布の一軒家フレンチ、『レストランひらまつ レゼルヴ』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
今夜の肉料理は、骨付き牛サーロインのロースト。
何時もお世話になっているスタッフの吉良さんが、焼きあがった肉をテーブルに持ってきて見せてくれる。
「こんな大きな塊で焼いても、小さなカットになって出されるのでしょうね」と彼女。
「君は健啖家だから量が足りないかもだね。でも、何時も僕以上に食べてどうしてそんなにスタイルが良いのか七不思議の一つだよ」と私。
肉料理に合わせて出されたのは、ボルドー左岸。
メドックのシャトー・オー・モーラック、クリュ・ブルジョワ、2009年。
このワインの2009年は美味い。
素晴らしい果実の凝縮感。
カシス、プルーン、ラズベリーに、ビターチョコレート、スミレのニュアンスも。
セパージュは、カベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロー40%。
新樽比率は1/3、樽熟成期間は12~14ヶ月。
カットされた牛サーロインが届く。
骨付きサーロインのロースト、ロメインレタスのシーザーサラダ、ソース・ベアルネーズ。
シーザーは英語読みなので、サラダセザールと言った方が良いのだろう。
モーラックは牛サーロインに良く合って美味い。
気が付くと、既に三杯目。
肉は骨付きで焼かれると、どうして美味しくなるのだろうか。
でも確かにヴォリュームは少ない。
ベアルネーズ・ソースは、イル・ド・フランス地方のソース。
ディジェスティフは、ノルマンディーのルモルトンが造る、ポモー・ド・ノルマンディ。
ポモー・ド・ノルマンディは、ノルマンディで造られるリキュールで、リンゴジュースとカルヴァドスをブレンドし、14ヶ月以上熟成させたもの。
ルモルトンのカルヴァドスは洋梨のポワレの比率が高く、一際香り高い。
そのカルヴァドスを使ったポモー・ド・ノルマンディは、美味しくないはずが無い。
デセールは、長野県産シナノスイートのタルト、シナモンのアイスクリーム添え、
シナノスイートは、長野で生まれた”ふじ”と”つがる”の交配種。
真っ赤な甘い林檎だ。
長野には、シナノドルチェという新しい品種もある。
これは確かに甘みの強い美味しい林檎だ。
焼き林檎にシナモンは良く合う。
ディジェスティフも美味しいので二杯目。
「高原様、今夜は楽しんでいただけたでしょうか」と、代官山の『メゾン ポール・ボキューズ』のソムリエの北村さんがテーブルに現れ、驚く。
代官山からも応援に駆け付け、二階でサーヴしていたとのこと。
「今夜も美味しかったわ。ありがとう。貴方のところには、ここのソムリエだけでなく、応援に来た『ひらまつ』の石井ソムリエや『メゾン』の北村ソムリエも皆さん挨拶に来てくれるのね」と彼女。
「今夜は仲の良いソムリエがここに集結していて楽しいね。今夜の君も素敵だよ」と私。
今夜もお腹がいっぱいなので歩きたいということで、六本木まで肩を並べて歩く。
六本木ヒルズの66プラザに上がり、再びメトロハットを下る。
彼女の朝食用のサラダを買いに、何時もの成城石井に立ち寄る。
今夜は時間が遅いので、サラダの種類が少ない。
それでも彼女は何個かを選んで買い物かごに入れていく。
「今夜はクロワッサンがまだあるよ」と、クロワッサンの大きな袋を彼女の買い物かごに入れ足す。
さて、そろそろ帰途に就くことにしよう。
彼女と過ごす、西麻布、六本木の夜は素敵に更けていきました。