ボーヌで必ず立ち寄らなければならないのは、オスピス・ド・ボーヌ。
「栄光の三日間=Les Trois Glorieuses」とは、「Vente des Vins des Hospices de Beaune」で、11月の第三日曜日に開催されるオスピス・ド・ボーヌのワイン・オークションの日と前後二日を合わせた三日間のこと。
『マルシェ・オー・ヴァン』でのワイン試飲を終えると、オスピス・ド・ボーヌの見学に向かう。
入口には「オテル・デュー 1443」と書かれている。
”オテル・デュー”は”神の家”という意味で、1443年にブルゴーニュ公国の大法官、ニコラ・ロラン夫妻によって設立された、貧民のための病院(オスピス)。
オスピス・ド・ボーヌの運営は500年以上にわたり、貴族たちによって寄進されたぶどう畑から生産されるワインの販売によってもたらされる収益で賄われてきた。
最盛期には1,300haあったぶどう畑も、現在は60haまで縮小しているが、その85%がグラン・クリュ、プルミエ・クリュであるため人気が高く、11月の第三日曜日に開かれる競売会は世界で最も有名なオークションとなっている。
中庭から見る屋根の造形が美しい。
中庭を囲んで、入院病棟、薬室、厨房等が並んでいる。
入口で入場料を支払うと、このリーフレットと音声ガイドが渡される。
日本語のガイドもあり、とても便利。
でも唯一の問題は、創立者のニコラ・ロラン夫妻に扮した声優の説明がとても長く、観て歩くのに時間が掛るのだ。
案内図の下部の四角の部屋、26番がワイン・オークションの会場。
一番有名な入院病棟。
案内図の2番からの撮影。
片側に15床のベッドが並び、両側を合わせて30床。
これだけ巨大な施設で病床がわずか30床というのはちょっと驚き。
ベッドの奥のカーテンを開ければ、ナースの通路がある。
奥のカーテンを開けてナースが病人の看護をするのだそうだ。
ナースが看護をしている絵も展示されている。
入院病棟の奥には、チャペル。
ステンドグラスが美しい。
目を引くのは、梁の装飾。
獣が梁を咥えて支えているのだ。
ニコラ・ロランの居室には多くの絵画が所蔵されている。
壁にびっしりと掛けられた絵は大きく迫力がある。
天井にも絵が描かれている。
ここは厨房。
ナースの人形が当時の様子を再現している。
壁には、昔使われていた鍋。
ここは調剤室。
ありとあらゆる薬が集められ、ここで調合されていたのだそうだ。
見逃せないのが、サン・ルイの間にある多翼祭壇画。
フランドル派のロジェ・ヴァイデン作、「最後の審判」。
ここでは多くの人が立ち止まって見入っている。
こちらは聖書の一節、放蕩息子のタペストリー。
ゆっくり時間を掛けて見学したので、時間が無くなってしまった。
外に出ると、なにやら賑やかな音楽。
面白い仮装をした楽団が賑やかに練り歩いている。
もっと色々観たいが、残念ながらタイムアウト。
ホテルのコンシェルジュのアドヴァイスに従い、国鉄のストライキに遭わないように早めの列車で引き揚げることにする。
予定の16時53分の列車は大幅遅延で来ず、先に到着した次の列車に運よく乗車。
ディジョンに戻ると、既に街は夜の帳に覆われている。
サン・ベニューニュ大聖堂には美しく灯が点っている。
この隣が私達が宿泊する、オステルリ シャポー・ルージュ。
ホテルの前のサン・フィリベール教会の上には、真ん丸なお月様。
彼女と過ごすボーヌの栄光の三日間の初日の夜は、素敵に更けていきました。