三月末のこと、彼女と六本木ヒルズで待ち合わせ。
向かった先は”もうひとつの何時ものフレンチ”、『レストランひらまつ レゼルヴ』。
二階のレセプションに上る白大理石の階段では、母子像と天使の像が迎えてくれる。
レセプションフロアーには、桜の生花。
坂元支配人に迎えられ、スプリング・コートを預ける。
飾られているのは、ロイヤル・コペンハーゲンのコレクション。
レトロなエレベーターで三階のメイン・ダイニングに進み、何時ものテーブルにつく。
ソムリエールの田中さんが今夜のアペリティフを届けてくれる。
スーズのトニックウォーター割り。
スーズはオーヴェルニュ地方のリキュール。
原料はリンドウ科の植物、ゲンチアナの根。
消化促進効果があると言われている。
新玉葱のブランマンジェ、桜鯛の炙り。
皮を軽く炙ったピンクの桜鯛。
春を感じる素敵な前菜だ。
焼き立てのバゲットは、皮はパリパリで中はしっとり。
フランスで作った生地を冷凍で輸入し、ここで焼いている。
白ワインは、ロワールの名門、アルフォンス・メロが造る、サンセール・ブラン、ラ・ムシエール、2013年。
アルフォンス・メロはサンセールで19代続く名門。
豊かな果実味、活き活きとしたミネラル感。
ラ・ムシエールはサンセールの丘の南向きの頂上部にある最高の畑で、メロ家の家宝と言われている。
鰆のミ・キュイ、ソース・ブールブラン、露地ほうれん草のソテー添え。
驚くほど肉厚の鰆。
旨味が詰まった柔らかな身が素晴らしい。
ほうれん草の根のムニエルがなかなか美味い。
ラ・ムシエールが美味しいのでどんどんグラスを重ねてしまう。
これで三杯目か四杯目。
赤ワインは、ローヌのスター・ドメーヌ、ジャン・ルイ・シャーヴの、ジャン・ルイ・シャーヴ・セレクション、サン・ジョセフ・ルージュ、オフル、2011年。
素晴らしいぶどうの凝縮感。
それでいて酸味があるのでエレガントな仕上がりとなっている。
ぶどうはシラー100%で、樹齢は高く、古いものでは80年というから驚きだ。
色合いは不透明なガーネットなので、あまり光を通さない。
ジャン・ルイ・シャーヴは人気で価格が非常に高くなってしまった。
そこで購入ぶどうを使って醸造するジャン・ルイ・シャーヴ・セレクションというネゴシアン・ブランドを立ち上げた。
このボトルもセレクションではあるが、実はドメーヌのぶどうが60%前後も使われている。
西麻布の”もうひとつの何時ものフレンチ”、『レストランひらまつ レゼルヴ』で彼女と過ごす楽しい夜は続きます。