2月のある休日。
ちぃさんと六本木で待ち合わせ。
六本木通りを下って向かったのは、白亜の邸宅。
ジョージアン様式の建築が美しい。
ここはフランス、アルザスの、『オーベルジュ・ド・リル』の東京店。
本店の創業は130年以上前、1952年からミシュランの星を守り続ける名店である。
玄関を入り、ウエイティングルームで一休み。
ダイニングルームに通じるドアを開けると、眼下に美しい空間が広がる。
緩やかに弧を描く階段を下り、今日のテーブルに案内される。
先客は二テーブルだけだったが、一時間後には満席となった。
案内されたテーブルはダイニングルームの一番奥、この大きな鏡の前。
ここは私の何時ものテーブル。
今日は寺田シェフがどんな料理を出してくれるか楽しみだ。
今日は、ちぃさんのお誕生日のお祝い。
お祝いにシャンパーニュは欠かせない。
ドゥラモット、シャンパーニュ、ブラン・ド・ブラン、ブリュット、プール・ヒラマツ。
ドゥラモットはサロンの姉妹メゾンで、サロンと同じくシャルドネの聖地、コート・ド・ブランの中でもグラン・クリュのル・メニル・シュール・オジェ村に本拠地を置く名門。
ちぃさんと、お誕生日おめでとうの乾杯。
シトラス、洋ナシの華やかな香り。
活き活きとしたミネラル、シャープな酸がボディを引き締め、後味にはブリオッシュや炒ったナッツのニュアンス。
アミューズ・ブーシュが届く。
左はアルザスの郷土料理、タルト・フランベ。
右はクロックムッシュ。
今日のコース料理のカルテをチェック。
左側には、本店のオーナー・シェフ、マルク・エーベルラン氏のサイン。
そしてカルテの表紙を飾るのは、先代のオーナー・シェフでマルクの父親のポール・エーベルラン氏の水彩画。
『オーベルジュ・ド・リル』はリル川の畔に佇むレストラン。
ポール・エーベルラン氏はリル川を中心とした水彩画を数多く描いていて、日本店のカルテの表紙の絵は折々変わっている。
このカルテはもう随分な数を集めている。
ちぃさんにこんな話をしていると、ソムリエが「これが本店です」と写真を持ってきてくれた。
庭に居るのはコウノトリで、レストランに巣を作って住み着いているのだそうだ。
パンが届く。
右が米粉のパン。
左がライ麦のパン。
お供のバターは冷えた大理石の上。
ちぃさんと過ごす、六本木の邸宅フレンチ、『オーベルジュ・ド・リル東京』での素敵な午後は続きます。