西麻布の『キャーヴ・ド・ひらまつ』で彼女と過ごす、楽しい夜の続き。
アペリティフ、白ワインの次は、ボルドーの赤ワイン。
ペサック・レニャンのシャトー・ド・カンパリアン、2006年。
合わせる肉料理は、仔羊フィレ肉のムニエルと、その肩肉のコンフィのパルマンティエ、タイムの香るジュ・ソース。
しっかりとした赤ワインい合わせた重厚感のあるラム料理。
これは美味い。
ロゼスは1855年創業の老舗で、数々の国際的な受賞歴を持つ名門のポルト生産者である。
タウニーは6年以上の熟成を経たポルトで、英語で黄褐色を意味するタウニーから名付けられた。
私がポルトに目覚めたのは、以前によく訪問していたウイーンで何時も宿泊していたホテル、『ブリストル』のバーでヴィンテージ・ポルトを飲んだ時。
あの時の驚きは今も忘れられない。
クレマン、白、赤をたっぷりと飲んでいるので、フォーティファイド・ワイン(酒精強化ワイン)であるポルトで結構酔いが回る。
彼女は飲み過ぎたと言って、自分のグラスのポルトの大半を私のグラスに注いでしまった。
今夜は美味いポルトと素敵な彼女に酔ってしまいそうだ。
デセールは、チョコレートのパルフェグラッセ、フリュイルージュのソース。
普段はダイエットのためデザートは控えているのだが、フレンチのコースだとデセールは外せない。
そんな彼女を見ていると、私も幸せに包まれる。
以前はブラック・ティかハーブ・ティばかり飲んでいたが、今は彼女の影響で食後はブラック・コーヒーを飲むことが多くなった。
3階のメイン・ダイニングから、2階のエントランスに降り、コートを受け取る。
何時ものランプが私たちを見送ってくれる。
「来月もまた来ようね」と、彼女。
「うん、そうしよう」と、私。
彼女の腰に手を添え、緩やかにカーヴを描く階段を下り、帰途に就く。
今夜も楽しい、西麻布の『キャーヴ・ド・ひらまつ』の夜でした。