ちょっと以前のお話。
丸ノ内のKITTEにある『ドン・ピエール・ハート』で彼女と待ち合わせた。
予定時間より随分早く着いてしまったので、KITTEをちょっと散策することにした。
KITTEの吹き抜けの1階広場には、大相撲の土俵が作られていた。
最近は両国国技館に行っていないので、土俵を間近で見るのは久しぶり。
四方の房も美しく飾られている。
スポンサーはありがたい存在だが、これらの化粧まわしを着けるのは、あまり美しいとは言えない。
レストランのある5階から見下ろすと、大きな土俵もこんなに小さくなってしまう。
土俵周りで時間を使ったが、まだ店に行くには早すぎる。
そこで6階の屋外の展望スペースに行ってみることにする。
こちら側は、丸ノ内南口。
皇室用の出入り口のある方だ。
目を皇居方面に移すと、丸ビルと新丸ビルがそそり立っている。
どちらも好きなお店がいっぱいあり、地下でつながっているので便利だ。
そして何より良いのが、JRやメトロの東京駅に直結していて、行き帰りのアクセスが便利なことだ。
私もここからなら最寄り駅まで16分で着くので、タクシーを利用するよりも早い。
さて、待ち合わせ時間の10分前になったので、『ドン・ピエール・ハ-ト』に入店する。
今夜は「ダイニング・ルームが満席なので、広めの個室をお二人でお使いください」とのこと。
個室といっても壁の一面がガラス張りになっており、ダイニングルーム越しに外が見えるので開放感がある。
不思議なことに、ダイニングルーム側からはワインボトルに遮られ、個室の中があまり見えないのだ。
私も何時もはダイニングルームの窓際のテーブルを使っているが、最近までここに個室があることに気が付かなかった。
部屋で待つこと20分、入り口で支配人の木本さんの「いらっしゃいませ。お待ちですよ」という声が聞こえる。
急いで席を立ち、部屋の入り口で彼女を迎える。
「何度も来ているのに、ここに個室があるなんて知らなかった」
彼女が席に着くと、直ぐに木本さんがスパークリング・ワインを抜栓し、グラスに注いでくれる。
「今夜は個室を予約してくれたのね。ありがとう」と微笑む。
ダイニングルームが満席だったとは言えなくなった。
木本さんを見ると、口に指を当ててにこっと笑っているので、沈黙の誓いを立てることにする。
ここはフレンチなので、何時もはシャンパーニュを飲むことが多い。
ところが今夜は初めてのアルゼンチンのスパークリング。
ボデガス・カテナ・サパータが造る、カテナ・アラモス・スパークリング、エクストラ・ブリュット、トラデッショナル・メソッド。
アラモスは、カテナ社が造るカテナ・シリーズのセカンド・ワイン・シリーズ。
カテナ社は、イタリアから移住したニコラス・カテナ氏が1902年に設立。
今は4代目が当主を務め、アルゼンチンを代表するワイナリーとなっている。
綺麗な泡立ちを持ち、柑橘系の花の香と、香ばしいブリオッシュのニュアンスを持つ。
新世界のスパークリングのミュズレには装飾の無いものが多いが、アラモスのミュズレはとても綺麗だ。
コレクションに加えておくことにしよう。
名前がちゃんと入っており、ワイナリーの自負を感じる。
彼女と過ごす、丸の内の『ドン・ピエール・ハート』の楽しい夜の続きはまた明日。