今夜は、ピークを過ぎて味が落ちてしまっていると思い、セラーに放置していたワインを恐る恐る抜栓。
セラーに入りきらないボトルがあるのに、このワインをセラーに置いたままにしてあるのはおかしいと考えたのだ。
一方でセラー外に保管すると確実に老化が進むので、仕方なく抜栓することにした。
キュナード、クイーン・エリザベス 2、メルロー・ド・カンプジェ、キュヴェ・スペシャル、ヴァン・ド・ペイ・ドュ・ガルド、1995年。
1995年は確かに良い年だ。
しかも超人気のシャトー・ド・カンプジェのワインである。
でも、ヴァン・ド・ペイ、20年の保管に耐えられるはずが無い。
このワイン、名前からお分かりの通り英国キュナード社が保有する『クイーン・エリザベス 2』のメイン・ダイニングで出されるハウス・ワインである。
以前、『クイーン・エリザベス 2』が横浜に寄港した時、キュナードのご招待でメイン・ダイニングで食事をした時のお土産で頂いたもの。
記念の品なので飲まなくても良いと思い、セラーで10数年寝かせたままになっていた。
正確に言えば、寄港した『クイーン・エリザベス 2』の中は国外。
だから船内で出されるワインは日本の酒税法に基づく納税は行っていない。
でも、下船するときに通関した記憶は無い。
キュナードが代行して通関してくれたのだろう。
さすが世界一の豪華客船会社だ。
『クイーン・エリザベス 2』は、先代の退役を受けて1969年に就航し、2008年に引退した。
その後、2010年に新『クイーン・エリザベス』が就航している。
『クイーン・エリザベス 2』の名前は、先代の『クイーン・エリザベス』の後継という意味で、2 (トゥー)と命名され、今のクイーン・エリザベス二世の名を冠したもの(この場合はⅡ、ザ・セカンド)ではない。
ところが進水式で、クイーン・エリザベス二世が船の名前を"クイーン・エリザベス・ザ・セカンド"と呼んでシャンパーニュを割ったのは有名なお話し。
『クイーン・エリザベス 2』の総トン数は69,053tで、先代の『クイーン・メアリー』(81,237t)や『クイーン・エリザベス』(83,673t)よりも小振りに建造されている。
これは、客船旅客の減少への対応と、パナマ運河通行のために船幅を狭くしたためである。
上の写真は、2008年に最後の航海で大阪港に寄港した時の、『クイーン・エリザベス 2』。
そして左の写真は、昨年5月にカリフォルニア、ロングビーチに旅した時に遊びに行った『クイーン・メアリー』の写真。
第一世代の船が左右の舷側に広いデッキがあるのに対し、第二世代の船は舷側まで客室が広がり、外側にデッキが無くなっている。
でも、状態は良く、香りに問題は無い。
これはもしかして、と期待が膨らむ。
グラスに注ぐと、ボトルの寝かせてあった下側に、多くの澱が付着している。
澱を落とさないように静かにグラスに注ぐ。
デキャンタージュした方が良かったと反省しながらも、澱が撹拌されなかったことにほっとする。
香りは少し弱くなっているものの、腐敗臭は無く、ぶどうの果実香は健在。
色も若干の退色は見られるものの、レンガ色というほどではない。
口に含んでみる。
驚いたことに、タンニンこそ弱くなっているものの、ヴィンテージ・ワインの旨味を充分に味わうことができる。
恐らくヴァン・ド・ペイを20年も寝かせて飲んだことがある人は居ないだろう。
20年の保管に耐えるとは、シャトー・ド・カンプジェのワインは恐るべき。
今夜も楽しい、お家ワインでした。