
西麻布の『キャーヴ・ド・ひらまつ』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
白ワインは、ルイ・ジャド、シャトー・ド・ロシェ、プイィ・ヴァンゼル、2005年。
ルイ・ジャドはブルゴーニュを代表する、大好きなドメーヌ兼ネゴシアン・エルヴール。
プイィ・ヴァンゼルはピイィ・ロシェとも称することができ、プイィ・フュイッセに隣接する非常に生産量が少ないAOC。
珍しいワインで、私もプイィ・ヴァンゼルを飲むのは初めてである。

プイィ・ヴァンゼルは若い頃はフレッシュ感の強い辛口だが、歳と共に熟成し、素晴らしい変化を遂げるのだそうだ。
10年の時を経て、どのように変化しているか楽しみだ。
色合いは輝く黄金色。
完熟した洋梨やアプリコットの香り。
口に含むと枯れた乾草のような熟成したボディを持ち、炒ったアーモンドやナッツ類のニュアンスも持つ。
確かにひらまつが選ぶだけあって、素晴らしく熟成したシャルドネである。

合わせる魚料理は、ニジマスの低温キュイ、オレンジの香るシャンパン・ロゼのソース、グルノーブルとビーツの飾り。
この料理も目で楽しみ、口で愉しむことができる、美しく美味しい一皿である。
柳原料理長の真骨頂発揮といったところか。

出されるパンは、時により変化する。
今夜のパンは、外皮がパリッと焼き上がり、中はしっとりと美味い。
中まで硬いと、ソースを掬うのに使い辛いのだ。

赤ワインは、ジュルジュ・デュブッフが造る、フルーリー・キュヴェ・プレステージ、2005年。
フルーリーはボジョレーの最上級地区、クリュ・デュ・ボジョレーのひとつで、このキュヴェ・プレステージは良いぶどうが採れた年にしか造らない特別なワインである。
このワインは『ひらまつ』のために造られているので、『ひらまつ』の店でしか飲むことができない。
このワインも白と同じく、2005年ヴィンテージ。
フルーリーは”花”という意味で、元々は花のように柔らかく軽快な赤だが、このボトルも10年の熟成を経てどのように変化しているのか楽しみだ。

色は普通のボジョレーに較べ、結構濃い。
確かに香りは甘く、アイリスの香りと言われているが、まさにその通りだ。
しかし口に含むと、甘い香りの後ろからカシスやブラックベリー等の果実味と、しっかりとした熟成感が現れる。
ムーラン・ナ・ヴァンと共に最高のボジョレーと言われるだけあって、美味い。
西麻布の大好きなフレンチ、『キャーヴ・ド・ひらまつ』で彼女と過ごす素敵な夜の続きは、また明日。