彼女と西麻布の『キャーヴ・ド・ひらまつ』で過ごす楽しい夜の続き。
アペリティフに続き、白ワインが届く。
今夜の白は、アルザスのトリンバックが造る、ピノ・グリージョ、キュヴェ・パルティキュリエール・プール・ヒラマツ、2010年。
トリンバックの歴史は17世紀初頭に遡り、現在の当主は12代目という、今も家族経営を守る名門。
フランスのミシュラン三ツ星レストラン全26軒にオンリストされている唯一のアルザス・ワインとして知られている。
このワインは名前のとおり、『ひらまつ』のための特別なキュヴェである。
少しモスグリーンがかった黄金色。
トロピカル・フルーツ、熟した洋梨の香り。
口当たりは柔らかく、果実味、熟成感、そして酸味のバランスが良い。
うっとりしてしまう、上質のピノ・グリである。
白ワインに合わせるアミューズは、フォアグラのテリーヌとコンソメゼリー、自家製ブリオッシュとグレープフルーツのアクセント。
ブリオッシュにフォアグラとコンソメゼリーを載せ、グレープフルーツのソースを添えて口に運ぶ。
これはたまらなく美味い。
魚料理は、鱧のフリット山椒風味の赤ワインソース、フランス産アスペルジュ・ソヴァージュを添えて。
夏の食材、鱧が食欲をそそる。
そしてアスペルジュ・ソヴァージュは二人の好物。
今夜の赤ワインは、初めて飲む造り手。
コート・デュ・ローヌのアラン・ガルティが造る、コート・デュ・ヴィヴァレ、2010年。
コート・デュ・ヴィヴァレは聞いたことが無いAOC。
1999年に昇格した新しいAOCで、アラン・ガルティはこのAOCを代表する造り手。
ガルティは別格とされ、AOCに昇格する前の1995年から例外的にAOCを認められていた。
アラン・ガルティは無農薬の有機栽培に取り組み、今はビオディナミ農法を取り入れている。
色合いはとても濃いガーネット。
ラズベリーやカシスの香り、スパイシーなハーヴのニュアンスも。
豊かな果実味と重厚な熟成感、強くて洗練されたボディ。
セパージュはシラー70%、グルナッシュ30%。
赤ワインに合わせる肉料理は、仔羊のロースト、ジュ・ソース、クラシカルなジャガイモのドフィノワと共に。
「最近はニュージーランド産を食べることが多いのだけど、フランス産の仔羊も美味しいね」、と料理長にお話ししたところ、「これはニュージーランド産です」とのこと。
ドフィノワはジャガイモのグラタン。
伝統的なドフィノワがかえって新鮮に感じられ、仔羊に良く合う。
『キャーヴ・ド・ひらまつ』の夜は、美味しく楽しい。
彼女と過ごす西麻布の素敵な夜の続きは、また明日。
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今夜は彼女と、キャーヴ・ド・ひらまつ、西麻布 2
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