今夜は彼女を初めてのお店に誘った。
広尾で待ち合わせ、西麻布方向に肩を並べて歩く。
「貴方が選んでくれるお店は何時も素敵なので、ワクワクしちゃう」とテンション高め。
「プーリア州は貧乏な田舎なので料理は豪華じゃないよ」と予防線を張る。
「でも、東京で人気があるってことは美味しいってことじゃないの?」と、あくまで期待は高い。
『アンティキ・サポーリ』に到着。
本店はプーリアのモンテグロッソにある有名店で、シェフはピエトロ・ジート氏。
東京店の料理長は山崎大輔氏で、2011年のイタリア料理コンテストの優勝者である。
店の感じは、イタリアの田舎のトラットリアといった感じ。
インテリアや什器類も全てプーリアからの輸入品。
ワインも全てプーリア産なので、知見が無い。
そこでお店の方と相談し、シャルドネを選んだ。
地ぶどうのワインを飲みたかったが甘みが強いとのことで、辛口のシャルドネにしたのだ。
アジエンダ・アグリコーラ・ヴェトゥレーレが造る、サレント、フィネス、シャルドネ、2014年。
サレントの南端、ターラントのワインである。
このエステートの記録は1600年に遡るという、長い歴史を持っている。
セラーはサレントの伝統的な石灰岩造りで、1800年代初頭に建てられたもの。
何度かのオーナーの交代を経て、今はアンナマリアとフランチェスカのブルーニ姉妹が運営している。
多くの受賞歴を持つワイナリーで、このお店の直輸入品である。
そのためか、ボトルに輸入業者のシールが貼られていない。
色合いは、濃い黄金色。
熟した黄桃やアプリコットの香り。
口に含むと蜂蜜のニュアンスもあり、後味に強い果実味が残る。
発酵はステンレスタンクで行い、熟成もステンレスタンクでシュールリーで2ヶ月間。
南の太陽の恵みを感じるシャルドネである。
料理の前に、パンが届く。
パンは三種類。
バゲット以外の二種類はプーリアのパン。
焦がし小麦のフォカッチャ、プーリア風。
なかなか美味いが、脂ギトギトなので食べるたびに指をお手拭きで拭うことになってしまう。
これは、タラーリ。
プーリアの伝統的なパンで、このタラーリにはフェンネルが練り込まれている。
塩味のビスケットといった感じ。
リコッタを詰めた花ズッキーニとイタリア産えんどう豆のソース。
ズッキーニはプーリアではよく使われる食材。
花ズッキーニは二人とも好きなので、嬉しい前菜。
サンマルツァーノとオリーブオイルの冷製ズッパ。
サンマルツァーノはイタリアの縦長のトマト。
適度な酸味が美味い。
ストラッチャテッラ。
プーリア生まれの、とろとろのミルキーなチーズ。
ほのかな酸味を持つ、珍しいチーズだ。
野菜のマルメッラータとアンドリア産リコッタ・ディ・ムッカ。
タマネギを使ったマルメッラータとは、タマネギのジャム。
リコッタと一緒に食べるととても美味い。
広尾のプーリア料理のお店、『アンティキ・サポーリ』で彼女と過ごす楽しい夜は続きます。
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今夜は彼女とプーリア料理、アンティキ・サポーリ、広尾
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