銀座の『ブラッセリー ポール・ボキューズ』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
アペリティフ、白ワインを飲み、赤に進む。
スッド・ウエスト地方、マディランのドメーヌ・アラン・ブリュモンが造る、アルジル・ルージュ、2005年。
アラン・ブリュモンはマディランのタナ種のぶどうで造られるワインの素晴らしさを世界に認めさせた功労者で、マディランの帝王と称されている。
彼女は、タナ100%のブリュモンのワインは強すぎて苦手。
でも、このアルジルはタナにカベルネソーヴィニヨンとカベルネ・フランが加えられているので、フルボディだが、タナ100%よりマイルドで洗練されている。
強い赤ワインに合わせる料理は、蝦夷鹿肉のパイ包み焼き、カシス風味のソース・ポワヴラード、下仁田葱のローストと南瓜のピューレ添え。
パイの中には、蝦夷鹿肉のミンチがぎっしり。
この料理ならアラン・ブリュモンのワインとの相性は素晴らしく良い。
食後はディジェスティフ。
今夜はコニャック。
A.E.ドールのコニャックV.S.。
1858年、アメデ・エドゥア-ル・ドールによって設立され、19世紀のフィロキセラ禍以前に蒸留されたコニャックの超古酒を今も保有していることで有名。
食後の香り高いコニャックは美味い。
二杯を楽しむ。
彼女は香りを楽しみ、ほんの少し味わった後、私にパス。
彼女は食後に飲む強いスピリッツは苦手なのだ。
結局私は三杯飲んでしまい、今夜も酔っ払う。
デセールは、濃厚なムース・ショコラ、オレンジのマルムラード添え。
ムース・ショコラが本当に濃厚で美味しい。
オレンジのマルムラードは肌がすべすべで綺麗。
「今夜もよく飲んだわね」
「今夜の君も素敵だよ。髪を少し切ったんだね」
「気が付いていたのね。酔っているかと思ったけど、大丈夫みたい」
「うん、君がとっても綺麗だとわかるから大丈夫だよ」
「やっぱり酔ってるわね」
今夜飲んだワイン達と、その後ろの大友ソムリエにお礼を言って店をあとにする。
「少し歩こうよ」
「寒い」
「じゃ、もっと僕に身体をくっつけて」
「歩きにくい」
文句を言われながらも、この時期の夜の銀座を歩くのが好きだ。
ミキモトの白薔薇のドレスが素晴らしい。
ブルガリのセルペンティ(へび)が美しく輝く。
ルイ・ヴィトンはこの交差点のブランド・ビルの中では一番小振り。
でも、デザインは美しい。
シャネルのイルミネーションは落ち着いている。
カルティエは茶色の抑制された色調が新鮮だ。
ヴァン・クリーフ&アーペルはジュエリーショップらしい輝き。
店の前のツリーも美しい。
今回のフェンディはピンク、先週見た時はブルーだった。
ピンク、ブルー、パープルと変わるそうだ。
彼女と過ごす銀座の夜は、素敵に更けていきました。