今夜は恵比寿で彼女と待ち合わせ、車で代官山に向かう。
旧山手通りにあるフレンチ、『メゾン ポール・ボキューズ』で開催される特別ワイン会に参加するのだ。
お店があるのは、代官山フォーラムの地下。
以前は『シンポジオン』があった場所で、その頃は頻繁に利用していた。
この長い回廊を抜け、メイン・ダイニングルームに向かう。
回廊の右側には、大きなキッチン。
突き当りを左折し、その先をさらに右折するとダイニングルームに出る。
会が始まるまで、氏家支配人と雑談。
『シンポジオン』が懐かしいとお話ししたところ、『シンポジオン』の営業期間は9年間で、『メゾン ポール・ボキューズ』になってもう10年が経ったそうだ。
「凄いわ。今夜も満席ね」と彼女。
「ワイングラスの数が多いね。どんな料理とワインが出されるのかメニューカードを見てみようよ」と私。
ナプキンにはお店のロゴが入っている。
ポール・ボキューズのPBのロゴに、メゾンのMを組み合わせている。
メニューを見ながら、彼女の質問に答える時間が楽しい。
テーブルにソムリエの石井さんが現れ、歓迎のスパークリングを注いでくれる。
お馴染みのヴーヴ・アンバル、クレマン・ド・ブルゴーニュ、ブリュット、ミレジム、2014年。
今夜のワインの選択について、石井さんから色々と教えていただくと勉強になる。
ここの定番のアミューズは、シュー。
ずっしりと重量感のあるシューが空いたお腹に心地良い。
前菜のパテ・ド・カンパーニュが、切り分けられる前に各テーブルを回って紹介される。
見ているだけで食欲が湧いてくる。
最初の白ワインは、大好きな銘柄。
ブルゴーニュ、リュリーでクローディ・ジョバールが造る、リュリー、モンターニュ・ラ・フォリー、2010年。
クローディ・ジョバールは注目の女流醸造家で、自らのドメーヌを運営する傍ら、ブルゴーニュの大手ネゴシアン、ルモワスネの醸造責任者も務める。
「貴方が好きな造り手ね。リュリーって、場所はどこなの」
「コート・シャロネーズの北部。コート・シャロネーズはコート・ド・ボーヌの南側だよ」と、こんな会話も嬉しい。
透明感のある黄金色。
豊かな果実味に加え、ミネラルと酸のバランスが素晴らしい。
熟した白桃や洋梨、バターや香ばしいナッツのニュアンス。
クローディ・ジョバールのリュリーが好きで、確か私のセラーにはラ・フォリーとプルミエ・クリュの二本が入っているはずだ。
続いて出された二種類目の白は、ローヌのコンドリュー。
ドメーヌ・ジョルジュ・ヴェルネのコンドリュー、レ・テラス・ド・ランピエール、2011年。
コンドリューの伝説的生産者と言われるドメーヌで、代々コンドリューの復活に尽力したことで知られる。
現在の当主は三代目で、先代のジョルジュ・ヴェルネ氏の娘、クリスティーヌ女史。
コンドリューのぶどうはヴィオニエ。
白桃のようなふくよかな果実味。
豊かな熟成感を持つ、素晴らしい辛口。
ぶどうは有機栽培されている。
右がリュリーのシャルドネ、左がコンドリューのヴィオニエ。
色合いに差はほとんどない。
どちらも豊かな熟成感、果実味を持つ素晴らしい出来栄えだが、どちらかを選ぶとするとシャルドネの方が好きだということで二人の意見が一致。
リヨン風オードブルの盛り合わせ。
リヨンは、『ポール・ボキューズ』本店の所在地。
パテ・ド・カンパーニュ。
一切れが大きく、このヴォリューム感が嬉しい。
ブーダンノワール、紫キャベツの赤ワイン煮、ランティーユ(レンズ豆)のサラダ。
ランティーユは小振りで身が厚く、ピュイ産だと思う。
代官山の『メゾン ポール・ボキューズ』で彼女と過ごす素敵な夜は続きます。