彼女と過ごす白金高輪の人気の中華、『蓮香』での楽しいディナーの続き。
クレマン・ダルザスを飲み干すと、赤ワインを抜栓。
白ワインは豊富に揃っているが、赤ワインは三種類のみ。
スペイン、フランス、イタリアの中から、イタリアのモリーゼ州のワインを選択。
ディ・マーヨ・ノランテが造る、モリ・ロッソ、2014年。
この造り手は、モリーゼを代表する大手。
モリーゼ州はマイナーなイメージがあるが、アドリア海に面するマルケ州、アブルッツォ州、モリーゼ州、プーリア州は美味しくて優しい価格のワインを産する地域なのだ。
気軽なワインだが、果実味もあるし円やかなタンニンも持っている。
ぶどうは、モンテプルチアーノ80%、アリアニコ20%。
アドリア海には二度行ったことがある。一度はトリエステで美味しい獲れ立てのスカンピをいっぱい食べた。
もう一度はドブロブニクで、沖合のヌーディストの島で裸で泳いだことを思い出す。
赤は冷蔵庫に入っておらず室温だったので、アイスバケットを出してもらう。
この時期、気軽な赤は冷やした方が美味い。
土家式の香り蒸し、発酵とうもろこし風味。
発酵とうもろこしとは面白い。
パクチーとの香りのハーモニーも楽しい。
二人の皿に取り分ける。
これはなかなか綺麗に盛り付けることができた。
蝦と台湾緑筍、梅菜の炒め。
台湾緑筍は緑竹の筍で、夏が旬。
えぐみがなく、生でサラダにして食べることができる筍である。
取り分けると、盛り付けと言えるほどの量が無い。
味は最高に美味い。
豚トロと北あかり、大葉豆豉炒め。
豚トロが柔らかく、どれが豚でどれがジャガイモかわからないくらい。
見た目ほど味が濃くなく、美味い。
〆は麺。
このスープは何で作られているのだろうか。
豆乳なのか何なのか、聞くのを忘れた。
太麺にスープが絡んで美味い。
二人ともパクチーが大好きなので、麺にもパクチーが付いているのが嬉しい。
「パクチーを食べたら、またバンコクに行きたくなっちゃった」と彼女。
「いいよ、僕もスパやタイ古式マッサージに行きたいしね」と私。
食後のお茶は、普洱茶。
熟成が進んだ親指大の塊が入っているので、ポットにお湯を二度入れ替えても充分に美味しさが続く。
「上海で美味しい普洱茶を買ったね」と私。
「本当? 茉莉花茶は買ったけど普洱茶は覚えていないんだけど」と彼女。
そう言えば、彼女と上海に行ったのは随分以前のことだった。
今夜も良く食べ良く飲んだ。
評判通り、『蓮香』の料理は楽しく美味い。
満ち足りた思いで店を出る。
食べ過ぎたから歩きたいというので、桜田通り方面に戻り、麻布十番方向に歩く。
コンビニを見付けると、「あ、今夜はデザートを食べていないわね。アイスクリームを食べましょうよ」と彼女。
”食べ過ぎたんじゃなかったの”と思ったが、彼女にとってデザートは必須アイテム。
私が選んだのは、ジョエル・ロブションのショコラ。
彼女はハーゲンダッツの期間限定品にするか迷った挙句、ゴディヴァのミルクチョコレートチップを選択。
アイスクリームを食べながら、麻布十番から六本木方向に歩を進める。
とうとう六本木ヒルズまで来てしまった。
「食後に歩くのって大好き」
「僕は食後にかかわらず、君と一緒に歩くのが好きだよ」
白金高輪~麻布十番~六本木の夜は、素敵に更けて行きました。