外苑前の素敵なフレンチ・レストラン、『ラドニス』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
ヴィレ・クレッセを飲み干すと、抜栓しておいた赤ワインを出してもらう。
今夜は赤もブルゴーニュ。
ドメーヌ・モレ・コフィネ、シャサーニュ・モンラッシェ、ヴィエイユ・ヴィーニュ、2014年。
コルクの長さは充分。
香も良く、濡れ具合も良い。
活き活きとした果実味を持つ綺麗なボディ。
ヴィエイユ・ヴィーニュ由来か、ストラクチャーも複雑。
彼女は私と違って、黒い土や腐葉土のニュアンスを持つピノは苦手。
そんな彼女が好きな、自然な果実味と酸を持つピノである。
魚料理は、佐渡産メバルのムニエル。
入江シェフの色彩のマジックは、緑、赤の次は、黄色。
皮にトウモロコシのパウダーを塗って焼かれており、パリッとした皮の食感がたまらなく美味い。
身の厚さから見ると、随分大物のメバルだ。
長年付き合いのある魚屋から、厳選した魚介類のみを仕入れているのだそうだ。
二種類目のパンは、トウモロコシのパン。
これも焼きたての熱々。
三種類目はバゲットだが、お腹がいっぱいで今回はパス。
肉料理は、鴨のロースト、アスパラソヴァージュ添え。
花紫蘇が添えられているのに驚いたが、これが鴨にとても良く合って美味しいことに、更に驚く。
周りに置かれているのは、北あかりの御餅。
入江シェフの出身地、北海道のじゃがいもが使われている。
赤ワインソース以外に、ガーリックのソースが添えられている。
砕いたナッツの食感が楽しく、鴨とも良く合う。
デセールはチョコレートケーキかと思ったが、どうも違うようだ。
アミューズ・ブーシュのエディブルフラワーの色はオレンジだったが、今度はブルー。
チョコレートの覆いを割ると、中からはラズベリーのソース。
この甘酸っぱさがたまらなく美味しい。
食後の飲み物には、コーヒーを選択。
ローストの強いコーヒーがいっぱいになったお腹を癒してくれる。
「今夜も美味しかった。ありがとう。ここ、好きよ」と、彼女。
「君に気に入ってもらって嬉しいよ。僕も好きだよ」と、彼女の手の甲に軽く触れる。
プティフールが届く。
ここではミニャルディーズとは言わないようだ。
入江シェフがテーブルに挨拶に来てくれた。
オーナー&サービスマンの坂井さん(左)と、シェフの入江さん(右)。
坂井さんは、『ル・マエストロ ポール・ボキューズ トーキョー』、『ロオジェ』、『ピエール・ガニェール・ア・東京』等でサービスマンの経歴を積まれ、『ラドニス』を開店。
入江さんは、『クイーン・アリス』で修業後、パリの『ルカ・キャルトン』、ブルゴーニュの『ラ・コール・ドール』、マルセイユの『プチ・ニース・パセダ』等、5軒の三ツ星レストランで経験を重ねられ、帰国後『ピエール・ガニェール・ア・東京』のシェフに就任。
『ピエール・ガニェール・ア・東京』で二人は出会い、数年の時を経て『ラドニス』の開店に結びついた。
今夜は本当に美味しかったです。
お二人に見送られ、店をあとにする。
キラー通り(外苑西通り)を歩いていると、彼女の足が止まる。
「ねぇ、せっかくここまで来たのだからパーラのクレープを食べましょうよ」
「絶対に食べ過ぎだと思うけど、お付き合いするよ」と応える。
パーラのクレープは、大人の味。
リキュールやスピリッツがたっぷりと使われている、プレミアム・クレープなのだ。
彼女が選んだのは、マロングラッセとラム・レーズンと胡桃のクレープ。
私のは、キャラメル・ナッツとブランデーのクレープ。
ブランデーがたっぷり使われていて、お酒に弱い人ならクレープを食べて酔ってしまいそうだ。
パーラは銀座にも店があるが、銀座店より神宮前店のメニューの方がリキュールが効いていて美味しい。
青山通りに出ても、さすがにお腹いっぱいなので外苑前を通り過ぎ、青山一丁目方向に歩を進める。
途中、『アクアヴィット』の前で足を止め、しばらく来ていないのでまた来ようと話し合う。
彼女がいつか中華にも行きたいというので、CIプラザの『富徳』の前で、周富徳さんとの想い出を話す。
食後のこんな散策は楽しい。
もうすぐ青山一丁目だ。
彼女と過ごす、外苑前の夜は素敵に更けて行きました。