西麻布の一軒家フレンチ、『レストランひらまつ レゼルヴ』で開催された、秋田県の食材を用いた特別ディナーに彼女と共に参加した素敵な夜の続き。
前菜は、リトルガーデン野菜、食材に合った調理法で。
リトルガーデンは秋田で斉藤善秀さんが営む、こだわりの農園。
400種以上の野菜と数百種のハーブが栽培されているそうだ。
生だったり茹でられていたり、揚げられたものもある。
さらに、フォアグラまで。
万願寺唐辛子は、衣揚げ。
オリーブのタプナードには、秋田の味噌の隠し味。
二種類目の白ワインは、シュッド・ウエスト、マディランの帝王、アラン・ブリュモンが造る、シャトー・モンテュス・ブラン、2009年。
アラン・ブリュモンはマディランの地ぶどう、タナから素晴らしい赤ワインを造り上げたことで有名だが、今夜は白ワイン。
強い果実味、リッチなヴォリューム感。
黄桃やアンズ、パイナップル、そしてバター、炒ったナッツ、バニラのニュアンス。
セパージュはプティ・クルビュ80%、プティ・マンサン20%。
男鹿天王港、甘鯛松笠焼。
フランス産ジロール茸とイ貝のエチュベ、新牛蒡のクロッカン、ソースベアルネーズ。
甘鯛は漁師の武田さんが特に選んだ上物。
松笠焼の鱗のパリパリ感がとても良い。
新牛蒡は、リトルガーデン産。
添えられているのは、ムール貝。
濃厚な旨味が詰まっている。
赤ワインは、ボルドー、メドックの、シャトー・オー・モーラック、2009年。
クリュ・ブルジュワの格付け。
紫を帯びた暗赤色。
カシス、ブラックベリー、ブラックペッパー、鉛筆の芯のニュアンス。
タンニンはとても強い。
セパージュは不明だが、メルロー主体でカベルネ・ソーヴィニヨンとマルベックが加えられている。
肉料理は、秋田牛のランプ肉。
「つぶぞろい」のリゾット、白神あわび茸とソースベリゴール。
稲穂の花、ゆかた娘のフランセーズ。
素晴らしい火入れ。
旨味が凝縮されている。
茸は、白神山地で獲れたあわび茸。
「つぶぞろい」は2015年に発売開始された新しい品種。
米粒の大きさは、「あきたこまち」の1.5倍。
枝豆の「ゆかた娘」は今年は生育が遅れ、なんとか今夜に間に合ったそうだ。
ここで突然なまはげが、「美味しくたべてるか~」(と言う意味の秋田弁)と言いながら乱入。
あれ、ピースをしているのは誰だ。
すると彼女が、「ね、秋田弁で話して」とリクエスト。
「悪い子はいねーか」(と言う意味の秋田弁)と、なまはげ。
彼女はさらに、「とっても好いわ。ね、もっと秋田弁でお話しして」。
「ええ・・・」と、慣れないリクエストになまはげが言葉を詰まらせる。
傍で見ていた坂元支配人がなまはげに助け舟を出し、「はい、お二人でなまはげを挟んで記念撮影をしましょう」。
「写真、写真」とつぶやくなまはげがとても可愛いく感じる。
デセールは、秋田県産白桃のコンポート、マラスキーノ風味のグラニテ。
これは美味い。
岡山の桃は盛夏が旬だが、秋田の桃は晩夏~初秋が旬なのだそうだ。
ディジェスティフは秋田県大仙市の鈴木酒造が造る、発泡清酒、ラシャンテ。
鈴木酒造は、元禄二年(1689年)創業の老舗。
とてもフルーティーなスパークリング。
口当たりには円やかな米の旨味を感じるが、後味はすっきりとした辛口。
あきたこまち100%で造られており、アルコール度数は8%。
ミニャルディーズは、求肥で包んだメロン、マンゴーと合わせた西瓜、それと秋田晩柑のマカロンとトリュフ・チョコレート。
「今夜の会も素晴らしかったわね」
「内木場料理長の、産地とコラボの会は色々工夫があって楽しいね。それに、君の今夜のドレスも似合っていてとても素敵だよ」
「ありがと。帰りに、あのなまはげさんともう少しお話しできるかな」
「いや、君が行くと逃げちゃうと思うよ」
お世話になった皆さんにお礼を述べて店をあとにする。
帰りに、なまはげには会えなかった。
彼女と過ごす西麻布の夜は、素敵に更けて行きました。