末広町のフレンチの名店、『ア・ターブル』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
グラスでクレマン・ド・ロワールと、ロワールのソーヴィニヨン・ブランを飲んだあとは、さらにグラスでマコンのシャルドネ。
マコンで最高の造り手の一人、ドメーヌ・コルディエが造る、マコン、クロ・デ・ラ・メゾン、2016年。
強く深い果実味と凝縮感。
酸とミネラルのバランスも抜群に良い。
1株に4つの芽しか残さず、ぶどうは完熟後に収穫。
これは素晴らしく美味いシャルドネだ。
続いて選んだ料理は、田舎風ブーダンノワール、自家製ブリオッシュのトーストとリンゴジャム。
これは二人で一皿なので、私が取り分け。
この田舎風ブーダンノワールは、豚の血、脂に加え、挽き肉も入れられているので、しっかりとした食感を持っている。
血の味わいが素晴らしい。
赤ワインはブルゴーニュの好きなワインをボトルで注文。
ラ・ジブリオット、ジュヴレ・シャンベルタン、2013年。
ラ・ジブリオットは、クロード・デュガのネゴシアン部門。
クロード・デュガのワインが高騰して気軽に飲めなくなった今としては、嬉しいワインだ。
ラ・ジブリオットは、クロード・デュガの監修の元、彼の子供たちによって造られている。
「美味しい。ラ・ジブリオットを飲むのは久し振りね」と彼女。
「そうだね。昨年2月に北参道のロクターヴ・バイ・ハヤトコバヤシで飲んで以来だね」と私。
「貴方の記憶力には何時も驚かされるわ」
「覚えているのは君と飲んだワインだけだよ」
今までの料理にはフランスのラギオールのナイフが使われていたが、メインの肉料理用にはイタリアのサンボネのナイフが出される。
徳島県産日本鹿、ソース・グランヴヌール。
添えられているのは、栗のピューレと人参のピューレ。
中秋シェフは徳島県とコラボで、駆除する鹿や兎を食用として活用するプロジェクトを推進されているのだそうだ。
これは一人一皿なので取り分ける必要がない。
付け合わせはパンで熱々に焼かれたクリーム・マカロニ。
二人に一つなので、私が二人の皿に盛り付ける。
肉は手前がカメノコで、奥がシンシン。
どちらも柔らかく、血の香りが素晴らしい。
日本鹿は蝦夷鹿に較べると、味わいがマイルドだ。
付け合わせは、強い肉とソースに良く合う。
「美味しかったわ。ここ本当に好きよ。今夜もありがとう」と彼女。
「美味しいし量もたっぷりあるので満足感が高いね」と私。
今夜は珍しく、彼女はフロマージュもデセールも、もう無理とのこと。
ピノ・ノワールを飲み干すと、階段を下ってエントランスに向かう。
ドアを開けてオーナーの中秋陽一シェフが待っていてくれた。
シェフ、今夜はお世話になりました。
素晴らしい料理に感激しましたので、出来るだけ早く再訪します。
末広町の『ア・ターブル』で彼女と過ごす素敵な夜でした。