今夜は彼女と何時ものフレンチで待ち合わせ。
毎月二回近くここに来ているが、自分でもよく飽きないものだと感心する。
月に何回かは初めてのお店にも行ってみることにしているので、バランスが取れているのかもしれない。
陽が落ちるのが早くなった。
夏だとまだ明るい時間だが、今ではもうこんなに暗くなっている。
開店と同時に入店したので、お店に客の姿はなく、スタッフも手持無沙汰そう。
厨房では今夜の準備に料理人たちが忙しそうだ。
何時もの席に着き、彼女の到着を待つ。
彼女が到着し、席を立ち、スタッフが引いた椅子に彼女が着席するのを待つ。
私も腰を下ろすと、すかさずソムリエの大友さんが今夜のアペリティフ、キールロワイヤルを注いでくれる。
使われているのは、ブルゴーニュのディジョンに本拠地を置くレリティエ・ギュイヨのクレーム・ド・カシス。
クレーム・ド・カシスの最も有名な造り手で、フランスの全生産量の約30%のシェアーを誇る。
そして、ヴーヴ・アンバルのクレマン・ド・ブルゴーニュ、ブリュット、ミレジム、2015年。
ヴーヴ・アンバルは、1898年創業のブルゴーニュを代表するクレマン専業メゾン。
今年の春に改定となった新しいバゲットは一層美味しくなった。
今日もお代わりしていっぱい食べてしまいそうだ。
スペイン産マグレ鴨胸肉の燻製、クレソンとナッツのサラダ、ディジョンマスタード風味のジャガイモのエクラゼ。
星野シェフによると、ブルゴーニュ地方の料理をイメージして作ったのだそうだ。
マグレ鴨はフォアグラ生産用の鴨。
身体が大きく、肉にも旨味が詰まっている。
バルサミコを少し付けて食べると美味い。
白ワインは、クロ・デ・リュンヌ、キュヴェ・リュンヌ・ダルジャン、2012年。
これは彼女が好きなワイン。
グラーヴのトップ・シャトー、ドメーヌ・ド・シュヴァリエのベルナール家がソーテルヌで造る辛口の白。
リュンヌ・ダルジャンとは、銀色の月という意味。
この2012年がファースト・ヴィンテージ。
強い果実味と熟成感、そして溢れるようなミネラル感。
やはりクロ・デ・リュンヌは美味い。
セパージュは、セミヨン70%、ソーヴィニヨン・ブラン30%。
魚料理は、フェンネルの香る鱸のパピヨット仕立て、爽やかなブール・ブランソース。
パピヨットは、紙包み焼き。
包みを開くと、ふくよかなブール・ブランソースの香りが広がる。
サーモンではなく、鱸にこの調理法を使っても美味しいのだと感心する。
今夜の星野シェフの料理も素晴らしい。
銀座の何時ものレストラン、『ブラッセリー ポール・ボキューズ』で彼女と過ごす楽しい夜は続きます。