一か月余り前、彼女が新大久保に行きたいという。
実は私も新大久保には10年ほど前に一度行ったことがあるだけで詳しくない。
「ハングルを話せるのに新大久保を知らないの」と彼女は手厳しい。
「ソウルなら案内できるけど・・・」と私。
ソウルには200回以上行っているので、大抵の場所はわかる。
ハングルも勉強したくなって、ソウルの大学の三カ月間の短期集中コースに入学し、首席で卒業した。
彼女と新大久保駅で待ち合わせ。
10分ほど早く着いたので改札前で待っていたが、凄い混雑。
しかも聞こえてくるのは、ハングル、中国語、なまりのある英語と、行き交う人の人種も様々。
彼女が到着し、向かったのは『民俗村』。
何処に行けば良いかわからなかったので、アメブロの”つるつるりん”さんの記事に出ていたこのお店を選んだ。
看板にはチーズタッカルビの写真。
彼女がチーズタッカルビを食べたいとのことなので、ここを選んだ。
韓国ではタッカルビは安い料理。
ソウルへの短期留学時は新村(シンチョン)のお店でよく食べていた。
二階の店に上る階段には、韓流スターの写真がぎっしり。
店内は韓国の古民家風の造り。
テーブルが個室で仕切られているので、友人達と来ても使い勝手がよさそうだ。
実はこのお店は喫煙可。
予約時に禁煙を希望したところ、一番奥の部屋を取ってくれ、「他に客は入れませんので煙草の煙は大丈夫だと思います」との嬉しい配慮。
テーブル上の和紙の照明が何気に可愛い。
バンチャンは三種でどれも美味い。
バンチャンが美味しい店は、メインの料理も美味しいのだ。
ドリンク・メニューにはワインも掲載されていたが、ここに来てワインを飲む必要はない。
彼女もマッコリを飲みたいとのことで、生(セン)マッコリを注文。
韓国では陶器の壺で出され、半割りの瓢箪で掬って器に注ぐところが多いが、ここでは薬缶で出されたので驚いた。
民俗村サラダ。
韓国では一般的なドレッシングだが、彼女は甘いと言って敬遠。
キムチ盛り合わせ。
この値段でこんなに沢山出されるとは。
銀座の韓国料理のお店なら、値段は三倍以上するだろう。
チャプチェの量にも驚く。
彼女は美味しいと言ってどんどん食べたが、これだけでお腹がいっぱいになってしまったようだ。
いよいよチーズタッカルビ。
初めて食べる彼女は、「何だか辛そうね」、とちょっと引き気味。
「本来タッカルビは辛い食べ物なんだよ。でもプルダックほどじゃないし、チーズを絡めると味がマイルドになるから大丈夫だよ」と私。
チーズが溶けて食べ頃。
辛いが、癖になる美味しさだ。
この後に、ポッサム、ヘムルパジョン、ムルネンミョンを食べようと話していたが、一皿のヴォリュームが半端ではないので、どの料理も完食できずに終了。
壁際には、こんな可愛い韓国古民家の模型が置かれている。
「韓国料理も中華と同じで、人数が多い方が色々食べられて好いわね。ね、新大久保にはまた来ましょうよ」と彼女。
店を出ると、腹ごなしに街を散策。
10年前に較べ、店も増え街も明るくなっている。
半露店のようなショップもある。
ソウルにも昔はいっぱいあったが、街の再開発が進み、大型商業施設が立ち並ぶようになり、こんなお店はどんどん消えている。
新大久保に居ると、一昔前のソウルに居るような錯覚を覚えて楽しい。
ドン・キホーテの店頭の商品も独特。
なんと韓国食材がずらりと並んでいるのだ。
彼女が甘いものを食べて休みたいというので、『タッ・カフェ』で一休み。
天井に取り付けられたモニターでは、韓国のミュージックビデオが流されている。
甘い物の予定だったが、最初はテキーラ。
私はクエルボのストレート、彼女はクエルボのジンジャーエール割り。
でも彼女がジンジャーエールが甘くて嫌というので、結局は彼女もクエルボストレートを追加注文。
店長さんがライムを急いで届けてくれた。
ライムを口でギュッと噛んで、テキーラをぐっと呷ると美味い。
テキーラをストレートで美味しそうに飲んでいる彼女を見て、彼女がショーコさん化したように感じる。
テキーラのあとは、パッピンス。
注文したのは、オレオチョコピンス。
かき氷の中に、砕いたオレオ。
ポッキーが刺さっているところが韓国っぽい。
凍らせた牛乳をかき氷にしているので、氷自体にほのかな甘み。
『タッ・カフェ』を出ると、新大久保駅に向かう。
「あ、これも食べたかった。次は食べましょうね」と彼女。
駅に着いたが、食べ過ぎたお腹がまだ重いと言うので、一駅歩くことに。
人気の少ない夜道を二人で肩を並べて歩くのは気持ちが良い。
もっと歩きたかったが、高田馬場駅に着いてしまった。
「次の駅までこんなに近いだなんて残念ね」と彼女。
「それならもう一駅歩こうか」と私。
「歩かない」
久し振りの新大久保を満喫した、楽しい夜でした。