代官山の邸宅レストラン、『リストランテASO』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
ドゥラモットのシャンパーニュ、トリンバックのゲヴュルツトラミネール、J.L.シャーヴのエルミタージュ・ブランを飲んだあとは、イタリアのスーパー・タスカン。
トスカーナのテヌータ・イ・コラッツィが造る、コラッツィ、2004年。
テヌータ・イ・コラッツィのワイナリーは16世紀に作られたもので、建物はミケランジェロのデザインと言われている。
オーナーはマルキ家で、マルキ家当主と共同経営者となっているのは、あのフレスコバルディの会長、ヴィットリオの妻。
そして醸造責任者はヴィットリオの長男でフレスコバルディ社長のランベルト・フレスコバルディ。
これだけ聞くだけで、美味しくないはずはないと思ってしまう。
完熟したカシスやプルーンの香り。
濃厚な果実の熟成感、強いタンニン。
ダークチョコレート、スミレ、バラのニュアンス。
素晴らしいボルドー・ブレンドだ。
14年の時間を経て、まだまだ熟成のポテンシャルを持っている。
セパージュは不明だが、ぶどうは、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、カベルネ・フラン。
J.L.シャーヴ・セレクション、エルミタージュ・ブランシュと、コラッツィを並べて交互に飲むのも面白い。
どちらも負けない強いボディなので、こんなことができるのだ。
肉料理は、仔羊のロースト パセリ風味、タイムの香るスーゴ。
スーゴは、羊の骨でとられている。
骨二本分の厚みが嬉しい。
素晴らしい火入れ。
仔羊の柔らかな肉に、ソースが良く合って美味い。
栗とコーヒーのトルタ、柿のジェラート。
栗とコーヒーのトルタ、文句なく美味い。
柿のジェラートとソース、季節感があってとても美味しい。
「やっぱりASOのお料理は素晴らしいわね。今夜もありがとう」と彼女も満足した様子。
高橋支配人がグラスを二つ持ってテーブルに現れた。
「高原様、今夜は楽しんでいただけたでしょうか。よろしければディジェスティフをどうぞ」とのこと。
「この色はトゥニー・ポートですか。あ、香りは違いますね」
「ベン・リエです」と高橋支配人。
「ぶどうを陰干しして作るシチリアの甘口ワインで、造り手はドンナフガータですね」と私。
「こんな珍しいワインまでご存知とは驚きました」と高橋さん。
ボトルの写真は無いので、カリテのH.P.からお借りした。
とても評価の高い高級デザートワインで、入手は困難。
私もベン・リエを飲むのはこれで三度目。
「高橋さん、驚いていたわね。こんなワインも知っているなんて、素敵だわ」と彼女。
パスティッチーニは、マカロン、ギモーヴ、トリュフ・チョコレート。
パスティッチーニというより、ミニャルディーズといった雰囲気。
高橋支配人、高階料理長にお礼を述べ、満ち足りた思いで店をあとにする。
『リストランテASO』を出ると、旧山手通りを渡って向かったのは、代官山T-SITE。
蔦屋書店の新業態で、中にファミマが入っている。
ファミマで彼女用のサラダを幾つか購入し、T-SITE内を少し見て歩く。
外に出ると、目の前には樹齢300年の欅の大木に囲まれた『リストランテASO』。
車を拾い、恵比寿に戻ることにしよう。
彼女と過ごす代官山の夜は素敵に更けていきました。