銀座の”何時ものフレンチ”、『ブラッスリーポール・ボキューズ 銀座』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
今夜の赤は、スッド・ウエスト、マディランの帝王、アラン・ブリュモンが造る、シャトー・ラロッシュ・ブリュモン、レグリース、2008年。
アラン・ブリュモンはマディランの地ぶどう、タナで造られるワインを世界に認められるレベルに引き上げた人物で、その功績に対しレジオン・ドヌール(フランス最高勲章)が授与されている。
タナの語源はタンニンであることからもわかる通り、とても強いボディのワインを生み出す。
実は彼女はタナが苦手。
でもこのレグリースはタナとカベルネ・フランが半々のセパージュなので、彼女も飲むことが出来る。
12年の熟成を経て、洗練された素晴らしいフルボディに仕上がっている。
鴨マグレのロースト、ソースヴァンルージュ、滑らかなジャガイモのピューレと玉蜀黍のアクセント。
「今夜はマグレ鴨なんだ。嬉しい」と彼女。
マグレ鴨は二人の大好物。
フォアグラを作るために肥育された鴨なので、肉にも旨味が凝縮されている。
裏漉しされたジャガイモのピューレはとても滑らか。
振りかけられているのは、ブラックオリーヴ。
濃厚なマグレ鴨とソースヴァンルージュに、これまたボディの強いラロッシュ・ブリュモン・レグリースが良く合う。
鴨の火入れも抜群に良く美味い。
鴨料理を食べ終えると、口直しに再び白ワインを一杯飲む。
飲んでいる白はロワールのビオディナミ・ワイン、ドメーヌ・サン・ニコラ、レ・クロ、フィエフ・ヴァンデアン・ブレム、2018年。
ディジェスティフが届く。
ポルトガルのロゼス、ポート、トゥニー。
ロゼスはフランスで人気のあるポートの造り手。
10年熟成のポートは深い味わい。
彼女は甘いフォーティファイド・ワインが苦手なので、私がありがたく二杯をいただく。
そしてこれで一挙に酔いが回ってしまう。
デセールは、ショコラの二層のムース、グリオットチェリーのアイスクリーム。
ショコラのケーキは二人とも大好きなので、しばらく眺めて楽しむ。
見るからに美味しそう。
今夜の星野シェフの料理もとても素晴らしい。
ポートとも良く合って美味い。
〆は濃いコーヒー。
いっぱいになったお腹を癒してくれる。
この日は星野シェフが夏休みだったのでお話しできず残念。
飲んだワイン達と竹内支配人に見送られ、店をあとにする。
この時期に安心して食事をすることが出来る、感染対策万全の馴染みのレストランは貴重だ。
マロニエゲートギンザ1を出て、有楽町方向に歩く。
振り向くと、今まで居た10階の窓が明るく輝いている。
東京交通会館の前からは、丸の内の再開発ビル群が明るく見える。
左手には、東京フォーラム。
有楽町駅前の地下鉄入り口の廂からは、エアーミスト。
地面が熱気でムンムンしているためか、あまり涼しさを感じない。
駅前のファミマで彼女の朝食用のサラダを幾つか購入すると、再びマロニエ通りから銀座四丁目に向かう。
マロニエゲートギンザ2の1Fから4Fにはユニクロが、5Fと6Fにはニトリが、そして7Fには石井スポーツが入居している。
ユニクロになってモンソーフルールが無くなったのは残念だが、今は代わりにユニクロ・フラワーが出店している。
その花売り場の真ん中に、何故か白い服を着たのっぺらぼうのマネキン。
夜遅くなると恐ろしい光景だ。
モンクレールのショーウインドーは真冬の装い。
扱っている商品が商品だけに、これは仕方がないこと。
銀座二丁目交差点まで来た。
照明を落としたブルガリがちょっと寂しく見える。
セルペンティの飾りがつく冬が一番華やかで好きだ。
シャネルはシックな装い。
グッチやルイ・ヴィトンのディスプレイは年齢層が若いので、シャネルのディスプレイをみるとホッとする。
黒髪のマネキンを多用しているのは日本を意識しているのだろうか。
でも今の日本でこんな烏の濡れ羽色の髪をした女性をみることは少ない。
高級カシミアとウールのイタリアン・ブランド、ロロ・ピアーナの樹は枝垂桜なのだろうか。
真夏にちょっと不思議な感じ。
ミキモトのディスプレイは女性こそ秋の装いだが、ウィンドウいっぱいに広がる海のイメージは夏満開。
彼女と肩を並べてゆっくり歩いても、すぐに四丁目交差点に着いてしまう。
彼女と過ごす銀座の夜は楽しく更けていきました。