彼女と銀座の”何時ものフレンチ”で待ち合わせ。
このご時世では、感染対策が万全で安心して食事ができるレストランをどうしても選んでしまう。
という訳で、安全な”何時ものレストラン”を訪問する頻度が高くなっている。
メトロ銀座駅から松屋銀座に繋がる地下道にも、まだまだ人出は少ない。
松屋銀座の中を抜けて銀座通りに出る。
お盆を過ぎると陽の陰りが早くなった。
ルイ・ヴィトンの前で銀座二丁目交差点の信号待ち。
マロニエ通りに入り、待ち合わせの店に向かう。
待ち合わせの場所は銀座の”何時ものフレンチ”、『ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座』。
エントランスで竹内支配人に迎えられ、席に案内される。
コロナ以前の半分に席数を減らしているので、広い店内はがらんとした雰囲気。
目の下には外堀通り、右手に見えるのは銀座東急プラザ。
その左上にちょっとだけ見えているのは東京タワーの先端部分。
今夜も四人用のテーブルに、二人の席が斜向かいにセットされている。
ここまで着けてきたマスクを、マスクケースに収める。
待ち合わせ時間になっても彼女は現れない。
私が何時ものとおり早めに着いたので、既に15分待っている。
私が手持無沙汰にしているので、竹内支配人が気にしてお話しに付き合ってくれるのが申し訳ない。
待ち合わせ時間を10分ほど過ぎた時に彼女が颯爽と現れた。
「遅い!」と文句を言おうと思っていたが、彼女の素敵な姿を目にした途端、その言葉が消し飛んでしまう。
竹内支配人がタイミングよく冷えたクレマンをテーブルに持ってきて抜栓してくれる。
目と目を合わせて乾杯。
ヴーヴ・アンバルのクレマン・ド・ブルゴーニュ、ブリュット・ミレジム、2016年は何度飲んでも美味い。
夕暮れの空をバックに撮影すると、まるでロゼのように見える。
彼女の背景に見える銀座東急プラザの背景の空が、夕焼けから宵闇の色に代わろうとしている。
東京タワーにはまだ明かりが点っていない。
フランスから生地を冷凍で空輸し、ここで焼いたバゲット。
皮はパリパリで中はしっとり。
前菜は、彩り夏野菜のラタトゥイユ、蜂蜜の香るフレッシュトマトのソルベを添えて。
合わせるのは、バルサミコソース。
銀座蜂蜜を使ったソルベは上品な甘さですこぶる美味。
これだけをお代わりしたいくらいだ。
前菜を食べながら、冷えたクレマンが良く合うので既に四杯目。
あっという間に一本を飲み干してしまった。
今夜の白は、ロワールの自然派ワイン。
ドメーヌ・サン・ニコラ、レ・クロ、フィエフ・ヴァンデアン・ブレム、2018年。
サン・ニコラはロワールの有名なビオディナミの造り手。
レモンやオレンジの爽やかな香り。
果実味と酸とミネラルのバランスが良く、後味に感じるグレープフルーツやオレンジピールの苦味がボディを引き締める。
シュナン・ブランがメインで、補助品種としてシャルドネとグロロー・グリが加えられている。
天然スズキのポワレ、軽やかなハーブのソースブールブラン、香ばしく焼いた旬の野菜と紫キャベツのシュークルートと共に。
シュークルートはアルザス地方で食べられるキャベツの発酵食品。
旬のスズキは肉厚で美味い。
シュークルートの酸味が味に変化を与え、ブールブランソースと相まってスズキの香ばしさを引き立てている。
添えられているのは、アーティチョークのフリット。
アーティチョークは私の好物。
話しは逸れるが、これがアーティチョーク(チョウセンアザミ)の花。
直径は20cmほどもある。
食べているアーティチョークは、花が咲く前の蕾の根元。
銀座の何時ものフレンチ、『ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座』で彼女と過ごす楽しい夜は続きます。