「常盤橋タワー」の「トウキョウ・トーチ・テラス」にある『羽田市場』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
刺身を食べている間、厨房の中では板前さんが水槽から牡蠣を掬い出し、殻剥きを始めた。
今夜の牡蠣は、福岡県の恵比須かき。
まさに海のミルク、身がプリプリミルキーで美味い。
彼女がカウンターの上にぶら下げられたワイングラスを見付けた。
ワインが無いことを残念に思っている彼女は諦めきれないのか、「このワイングラスは何に使うのですか」と質問。
店長の古内さんが「ワインのような日本酒に使います」と答えてくれる。
「そのワインのような日本酒を下さい」と彼女。
古内さんが出してくれたのは、広島県東広島市の今田酒造本店が醸す、富久長 白麹 シェルラヴァーズ 純米。
女性杜氏、今田美穂さんが醸した牡蠣に合う日本酒。
今田酒造本店のみが使用する酒造米、八反草を70%用い、精米歩合は75%。
焼酎に使われる白麹が作り出すクエン酸がシャープな味わいを出し、貝類によく合う酒となっている。
私が選んだ酒は、福岡県大川市の若波酒造が醸す、IMADEYA TANK。
”いまでや”は千葉県千葉市の酒類販売業者で、色々な酒の企画販売を行っている。
この酒は福岡の夢酵母を用い、福岡県産山田錦を60%まで磨いて醸された酒。
この酒も女性杜氏が造る、酸味のある爽やかな飲み口の酒だ。
アルコール度数も13%と低めで、魚介類によく合う。
次に注文したのは、エビマヨ。
注文してから海老の殻剥きが始まる。
二人に取り分けるのは私の役目。
海老がプリプリで美味い。
海老の他にトマト、ジャガイモが入っている。
次に飲む酒を選ぶため、酒の冷蔵庫を見に行く。
詳しい方ならラベルを見るだけで、この品揃えの面白さをわかっていただけると思う。
ここには鍋島が揃っている。
佐賀県の鍋島も好きな酒だ。
私が選んだ酒は、高知県ご出身のブロ友、かずみさんに敬意を表し、安芸郡の濱川商店が醸す、美丈夫 吟醸 麗。
柑橘系の吟醸香を持ち、辛口の中にも米の旨みを感じさせる洗練された飲み口。
使用米は松山三井、精米歩合は55%。
使用酵母は高知新酵母SHELA。
そして彼女は、最初に飲んだ酒が美味しかったということで、再び富山県富山市の富美菊酒造が醸す、羽根屋 吟醸 生詰。
次に注文したのは、天麩羅。
これは太刀魚の天麩羅。
身がふわふわで最高に美味い。
これは鱧。
太刀魚と鱧では似たような魚となってしまったが、今夜のお薦めはこの二種の魚だったのだ。
鱧も美味い。
彼女が辛口の酒を飲みたいと言うので選んだ酒は、広島県呉市の宝剣酒造が醸す、寳剱 純米 超辛口 生。
広島県産八反錦を60%まで磨いて醸された、超辛口。
私の酒は、山形県鶴岡市の冨士酒造が醸す、栄光冨士 純米大吟醸 無濾過生原酒 龍吟虎嘯。
使用米は羽州誉で、精米歩合は50%。
羽州誉は、十四代で有名な高木酒造の酒米三部作の一つ。
あとの二つは、龍の落とし子、酒未来。
〆は、穴子の棒寿司。
この穴子も上物で美味い。
やはり『羽田市場』の魚は評判通りの美味しさだ。
彼女は日本酒は苦手で何時もは飲まない。
こんなに日本酒を飲んだのは人生で初めてなのだそうだ。
それだけ酒も魚も美味しかったということ。
常盤橋で彼女と過ごす、楽しい夜でした。