3月中旬の休日、上野の東京都美術館を訪問。
コロナ感染拡大以降二年余り、展覧会にはほとんど足を運んでいなかったが、年が明け、良い企画展が次々と開催されているので、美術館訪問を再開。
上野駅でちぃさんと待ち合わせると、上野公園に歩を進める。
ポカポカ陽気の青空に花々が一層明るく輝く。
東京都美術館前を行き交う人も、すっかり春の装い。
目的の絵画展は、”ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展”。
ここに来るのは、”ゴッホ展”以来。
その時の記事はこちら。
と、ここでもう絵画展鑑賞は終了。
展示室内は一切撮影禁止。
ここは展示室を出た後の、記念グッズの部屋。
フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」のパロディー版のトートバッグ。
買おうかと迷ったが、買ってももったいなくて使えないのでパス。
約二時間の鑑賞を終え、外に出る。
ここに来たら、エスプラナードに置かれたこのステンレスの球体は撮影したい。
井上武吉氏の作品、「my sky hole 85-2 光と影」だ。
とても暖かい休日なので、上野公園には多くの人出。
ソメイヨシノの花の蕾はまだ固いが、桜の木の回りにはフェンスが張られ、シートを敷いての花見宴会は出来ないようになっている。
展示室内の撮影は出来なかったが、見どころや作品の紹介は少し記すことにする。
この企画展はコロナ感染拡大により開催が危ぶまれていたが、初日が1月22日から2月10日に遅れ開催期間が短縮されたものの、何とか開催されて良かった。
これは美術館に置いてあったパンフレット。
これでは初日が1月22日になったまま。
今回の一番の見どころは、何と言ってもフェルメールの「窓辺で手紙を読む女」。
背後の壁の中に何者かによって塗りこめられていたキューピッドの画中画を修復して蘇らせることに成功。
所蔵館以外で公開されるのは世界初。
パンフレットの右半分のページをめくると、修復後のキューピッドが姿を現すという凝った演出。
この企画展では修復前の模写と修復後の絵が展示され、更に修復の過程を紹介するヴィデオも上映され、内容の濃い展示となっている。
修復の様子はこちら。
改めて、作品をよく見てみよう。
これが修復前の「窓辺で手紙を読む女」。
目は画中の女性に集中する。
悲しい知らせが届いたのだろうか、女性は今にも泣き崩れそうな表情をしている。
そしてこれが修復後の「窓辺で手紙を読む女」。
目は背景の画中画のキューピッドと女性の両方に分かれてしまう。
キューピッドが存在するということは、手紙はラブレターに違いない。
キューピッドが踏み付けているのは、仮面。
仮面は嘘や欺瞞の象徴とされ、それを踏み付けることで真実の愛を表現していると考えられる。
古いニスが取り除かれ窓枠のブルーも鮮やかになっているので、雰囲気も明るくなっている。
それにしても、このキューピッドは可愛いくない。
やはりキューピッドといえば、このイメージ。
フランソワ・ブーシェの「ビーナスの化粧」。
現在、六本木の国立新美術館で開催されている”メトロポリタン美術館展”で展示されている絵だ。
キューピッドは、ビーナスの子供なのだ。
話しを本題に戻すと、キューピッドが塗りつぶされた修復前の絵と、キューピッドが描かれた修復後の絵とどちらが好きかは、意見の分かれるところだろう。
でも何となく、キューピッドを塗りつぶした人の気持ちもわかるような気もする。
「フェルメールと17世紀のオランダ絵画展」では17世紀に活躍したオランダの画家たち、レンブラント、ハブリエル・メツー、ライスダール、ヤン・ステーンなどの名作や複製版画、76点が展示されている。
見応えのある絵画展だ。
その鑑賞記はまた明日。