京橋の「アーティゾン美術館」で、ちぃさんと鑑賞する企画展の続き。
6階で開催されているのは、”写真と絵画-セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策”。
セクションⅢは二人の写真家の作品とセザンヌのコラボ。
ポール・セザンヌ:1839-1906
この展覧会は、写真を作品創造のメディアとして選んだ二人の作家が、セザンヌの絵画作品を起点に、現代の写真と絵画の関係を問う試み。
二人とも高校時代に出会ったセザンヌの作品、「赤いチョッキの少年」が制作者への道を歩み始めるきっかけだったのだそうだ。
セクションⅢは小振りな部屋での展示。
まず展示されているのは、ポール・セザンヌの写真。
ウジェーヌ・ピルー、「ポール・セザンヌ」(1900年頃)。
続いて、撮影者不詳、「ポール・セザンヌ」(撮影年不明)。
どちらも写真がとても小さいので、拡大してみた。
顔の詳細まではわからないが、何となく雰囲気は感じることができる。
”普通は対象とならないものに画面を構成する上で必要なフォルムを見出す”、”それ自体を説明するのではなく、その存在によってタブローと言える力を持つ作品となることを目指す”、なるほど、それが柴田敏雄のコンセプトなのか。
柴田敏雄、「高知県土佐郡大川村」(2007年)。
東京都写真美術館蔵。
絵画と人造構造物が合体したような不思議な存在感。
ポール・セザンヌ、「帽子をかぶった自画像」(1890-94年頃)。
モデルを使うことを不得手としていたセザンヌは、30点余りの自画像を描いている。
抽象化、省略された画面の中に、セザンヌの強固な意志が現れている。
ポール・セザンヌ、「鉢と牛乳入れ」(1873-77年頃)。
初期の作品。
身の回りの物を色々並び変えて書くことが出来る静物画を、セザンヌは絵画表現の実験の場として捉えていた。
現実の形状とは思えない器が、却って画面に安定感をもたらしていることが不思議だ。
ポール・セザンヌ、「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」(1904-06年頃)。
生まれ故郷のエクス・アン・プロヴァンスに聳え立つ石灰岩の山、サント=ヴィクトワール山の連作の一枚。
目に見える一瞬のきらめきを絵画にする印象主義の絵を超え、より強固で堅牢な質感を持つ絵を追い求めた作品。
この革新的絵画が後のキュビスム、フォービスムに与えた影響は大きい。
色々な参考資料も展示されている。
ジョアシャン・ガスケ、「セザンヌ」(1921年)。
資料展示されている、セザンヌの習作の小品。
「水浴」(1865-70年頃)。
「水浴群像」(1897-1900年頃)。
「三人の水浴の女たち」(1874-78年頃)。
「休息する水浴の男たち」(1875-77年頃)。
京橋の「アーティゾン美術館」での楽しい絵画鑑賞は続きます。