代官山のグラン・メゾン、『メゾン ポール・ボキューズ』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
アミューズ・ブーシュは、栗カボチャのムース、白トリュフの香り。
栗カボチャのムースの上には、クルトン、クリ、ベーコン。
そして白トリュフの香りを纏った牛乳のエスプーマ。
パンとバターが届く。
今まではメダル型のエシレバターだったが、四角いバターに変わっている。
先﨑支配人に話しを聞くと、エシレバターが入荷しないのだそうだ。
最後に入荷したメダル型のエシレバターは輸送にトラブルがあったようで、届いた時には黴ていて廃棄したとのこと。
そこで在庫があるバー型のエシレバターを切って出しているとの説明。
シャンパーニュを飲み終えると、素晴らしい白ワインが出された。
コート・デュ・ローヌのイヴ・キュイユロンが造る、コンドリュー、ラ・プティット・コート、2019年。
イヴ・キュイユロンはローヌ地区でのトップレベルの白ワイン生産者と評価され、コンドリューに12haの畑を保有。
ヴィオニエで作られるコンドリューのワインは、彼女も私も大好き。
ヴィオニエらしい白い花や白桃や洋梨の香り。
果実の凝縮感、酸とミネラルのバランスが素晴らしく、蜂蜜のニュアンスのあとには軽い苦みのあと味。
これはとても良いコンドリューだ。
続く料理は、『ポール・ボキューズ』のスペシャリティ。
1975年にエリゼ宮にてV.G.E.に捧げたトリュフのスープ。
V.G.E.とは、ヴァレリー・ジスカール・デスタン元フランス大統領のこと。
パイ皮を外すと、黒トリュフの香りがふわりと湧き上がる。
濃厚なコンソメスープの中には、黒トリュフ、根セロリ、ニンジン、牛肉。
パイ皮を漬けて食べるのも美味い。
濃厚なスープにコンドリューが良く合う。
ダイス状の牛肉がいっぱい入っているので、このスープだけでお腹が結構いっぱいになってしまう。
二種類目の白ワインは、またまた素晴らしい造り手のものが出された。
ドメーヌ・クローディ・ジョバール、モンタニー、プルミエ・クリュ、マドレーヌ、2019年。
クローディは大好きな造り手で、私のブログの常連ワイン。
彼女のワインは私のセラーに常に何本か入っている。
ブルゴーニュで人気の女性醸造家で、自らのドメーヌを率いると共に、ブルゴーニュの名門ネゴシアン・エルヴール、ルモワスネの醸造責任者も務めている。
ドメーヌの本拠地はリュリー。
モンタニーはリュリーと同じくコート・シャロネーズにある村名アペラシオン。
白ワインに特化した産地だ。
このワインは、ここで開催された今年(2022年)のパリ祭のパーティーでも飲んでいる。
柑橘系のフレッシュな香り。
クローディのワインは、何時もはリュリーの2013年や2015年を飲んでいるので熟成が進んでいるが、このモンタニーは2019年と若いので味わいは全く異なる。
洋梨や白桃の果実味に微かなスパイスのヒント、豊かなミネラルを持つ骨太なボディ。
アルコール度数は14%と高め。
リュリーに負けず、このモンタニーもプルミエ・クリュだけあって素晴らしいシャルドネだ。
ポワソンが届く。
ベーコンを巻いた平目のムニエル、ソース・ヴァンブラン、モリーユを添えて。
モリーユ茸の香りが素晴らしい。
平目は淡白な白身なので、ベーコンの塩味が味を引き立てる。
ソース・ヴァンブランにはブイヨンと赤ワインのソースがアクセントとして加えられている。
添えられている野菜は蕪。
モンタニーと合わせて美味しくいただく。
シャルドネを通過した美しい光の像が浮かぶ。
ソムリエの櫻井さんが目立たないようにこちらに気配りをしてくれている。
彼女と過ごす、代官山の『メゾン ポール・ボキューズ』での素敵な夜は続きます。