今夜は彼女と白金台の『シェラトン都ホテル』で待ち合わせ。
エントランスを入ると、フロア・ラウンジで足を止める。
ここから見る日本庭園が素晴らしい。
日本庭園を別の角度から観ると、夕方とはいえ夏の陽光を浴びた木々の緑が眩しい。
厚い緑の壁が、都心の騒々しさを遮断してくれる。
先にチェックインした彼女から送られてきた部屋番号を頼りに、高層階に向かう。
部屋に入ると、今夜は彼女がシャンパーニュを冷やして待っていてくれた。
「ホテルで頼んだら、モエ・エ・シャンドンになっちゃった」
「え、今夜は君が僕にシャンパーニュをプレゼントしてくれるんだね。ありがとう」
彼女のプレゼントに思わず胸が熱くなりながら、平静を装い、抜栓する。
モエはキンキンに冷えている。
二つのグラスに注ぎ分け、乾杯。
細かな勢いの良い泡が心地よい。
セパージュは、ピノ・ノワール40%、シャルドネ30%、ピノ・ムニエ30%。
バランスの良いシャンパーニュである。
彼女がルームサービスで頼んでいた料理が届き、ちょっと驚いた。
「メキシカンを頼むなんて珍しいね」
「ここのメニューにある料理はほとんど食べちゃったから、頼んだことが無いものを選んだの」
そしてスモークドサーモン。
これも確かに初めて頼んだ料理だ。
あっという間にモエを飲み干したので、二本めのシャンパーニュを抜栓。
これは私が持ち込んだRM(レコルタン・マニュピラン)もの。
フィリップ・フォンテーヌの、ブリュット・トラディション、ブランド・ノワール。
シャンパーニュを二本も飲むとは思っていなかったが、今夜は少し自分を甘やかせても良いだろう。
セパージュは、ピノ・ノワール70%、ピノ・ムニエ30%。
まさに黒ぶどうだけで造られた、ブラン・ド・ノワール。
口に含むと、黒ぶどうの力強さの中に活き活きとした酸を感じる。
彼女も気に入ってくれたようだ。
シャンパーニュに酔いしれる、至福のひととき。
週末の夜は長い。
彼女と過ごす、白金台の『シェラトン都ホテル』の楽しい夜の続きは、また明日。