彼女にメールすると、彼女も夜は空いていると言う。
そこで新橋駅で待ち合わせ、気軽なワイン・レストランで食事をすることにした。
お店は、『ワインホール・グラマー』。
地下に階段で降り、自動ドアを抜けると、目の前に大きなワイン樽が現れる。
順番は逆になるが、地下に降りる階段には、店の看板が掛けられている。
ダッチオーブン料理とワインのお店なのだそうだ。
わいわい賑やかに飲むことが出来るお店のようだ。
到着直前に予約の電話を入れたが、既に満席。
遅い時間の予約席に、その前の時間の利用という条件で滑り込むことができたのだ。
今夜は時間が無いので、赤ワインを一本だけ飲むことにする。
選んだワインは、シチリアのフェウド・デリーミが造る、ネーロ・ダーヴォラ、2010年。
ワイナリーの名前、フェウド・デ・エリミ(フェウド・デリーミ)のエリミとは、紀元前7世紀頃にギリシャからシチリアに移住してきた古代民族の名前。
ギリシャからぶどうの樹を持ち込み、ワイン造りを始めたと言われている。
ドンナフガータもそうだが、シチリアのワインには歴史がいっぱい詰まっていて、とても楽しいのだ。
ところでドンナフガータは”逃げてきた女”の意味で、ナポリからシチリアに避難してきたマリア・カロリーナ王女のこと。
ネーロ・ダーヴォラはシチリアの地ぶどうで、今ではイタリアを代表する黒ぶどう品種のひとつとなっている。
イタリアの三大黒ぶどうと言えば、ピエモンテ州のネッビオーロ、トスカーナ州のサンジョヴェーゼ、カンパーニャ州やバジリカータ州のアリアニコ。
これに続くのがシチリア州のネーロ・ダ-ヴォラだと思っている。
色合いはとても濃い。
以前はどんよりした重いワインが多かったが、今では黒い果実の香りとスパイシーでリッチなボディを持つ、洗練されたワインが増えている。
シチリアの気候は暖かいが、3000mを超える標高のエトナ山があるため、冷涼な高地で海風を受けたぶどう栽培が可能なのだ。
英語の新聞に包まれている。
良く見ると、表面にコーティングされた紙で、インクでパンが汚れることは無い。
これは赤ワインに合ってとても美味い。
どんどんバリバリと食べてしまう。
豚の脂がサラダになじんで美味い。
健康的なのか不健康なのか判断に苦しむ一品だ。
パンに載せてカナッペ風に食べる。
時間が無いだけでなく、お腹も空いているのであっという間に完食。
レアーで注文したが、熱い鉄皿に乗っているのでどんどん火が通ってしまう。
でも、柔らかくジューシーで美味い。
でも、お腹はいっぱい。
半分はお持ち帰りとなった。
今夜は二階席(と言っても正確には地下1階で、下の階は地下2階)を利用した。
上から店内を見下ろすと、ワインとテーブルがぎっしりと並んでいる。
早い時間の入店直後の写真なので、店内にまだ客の姿は無いが、30分もすると満席となってしまった。
彼女と過ごす銀座の”ワインホール・グラマー”での楽しい夜でした。