西麻布の『レストラン ひらまつ レゼルヴ』で開催された「想いをつなぐ食彩の夕べ」に彼女と共に出席した楽しい夜の続き。
最初の白ワインは、ロワール、サンセールのアルフォンス・メロが造る、サンセール・ブラン、ラ・ムシエール、2010年。
アルフォンス・メロはサンセール地区で19代続く名門。
淡い麦藁色。
シトラスの香り。
活き活きとした酸と、強いミネラル。
上質のソーヴィニヨン・ブランである。
前菜は、ふくどめ小牧場、サドルバックポークのパテ・ド・カンパーニュ、そのベーコンと地場の野菜のコルニッション。
サドルバックポークはイギリスの食養豚の原種で、欧州ではチンタセネーゼと呼ばれている。
日本ではふくどめ小牧場でしか飼育されていない希少品種で、幻の豚と言われている。
ふくどめ小牧場は、養豚からハム・ソーセージの生産・販売まで手掛ける家族経営の牧場。
養豚業を営んでいた福留夫婦は最終製品までの一貫生産を夢見て、子供三人をイギリスに留学させ、その後長男はオランダで養豚を学び、次男はドイツで7年をかけて食肉マイスターを取得、長女は中国で研修。
今では夫婦と子供三人の家族で夢を実現させ、素晴らしい製品を生み出している。
地場野菜のコルニッション。
コルニッションはヒマラヤ原産の胡瓜の酢漬けだが、ここでは野菜のピクルスの意味で使われているのだと思う。
見て可愛く、食べて美味しいコルニッションだ。
二本目の白ワインは、ブルゴーニュ、コート・シャロネーズのクローディ・ジョバールが造る、リュリー、モンターニュ、ラ・フォリ、2009年。
クローディは注目の女流醸造家。
自らのドメーヌを運営するとともに、ブルゴーニュの大手ネゴシアン、ルモワスネの醸造長も務める。
色を見て驚く。
このワインは何度も飲んでいるが、こんなに色が濃いのは初めて。
強い熟成感とミネラル。
熟した桃や洋梨、炒ったカシューナッツのニュアンス。
綺麗に熟成の進んだシャルドネは美味い。
左がサンセール、右がリュリー。
ヴィンテージは1年違いなのだが、ソーヴィニヨン・ブランとシャルドネの違いもあるのだろうか。
どちらも甲乙付け難いが、クローディーのシャルドネの方が好きだということで、二人の意見が一致。
魚料理は、熟成カンパチ、”アカバラ”の一皿、グリーンアスパラガスのエチュベ、ハーブ香るソースブールブラン。
特大のカンパチのことを、”アカバラ”と呼ぶのだそうだ。
アカバラは、通常1年半で出荷されるカンパチを、4年をかけて育て上げている。
脂がのったカンパチは旨く、さっぱりした味のアスパラガスとの相性が良い。
口直しのグラニテ、大隅。
焼酎の八千代伝、温泉水99、辺塚橙が使われている。
香が素晴らしく、口に含むと焼酎と橙の味がいっぱいに広がる。
会場の壁のプロジェクターには、大隅半島を紹介するビデオが上映されている。
生産者の方々のお話しも面白く参考になる。
皆さん、わざわざこの食事会のために鹿児島から駆け付けられているのだ。
西麻布の『レストラン ひらまつ レゼルヴ』で彼女と過ごす楽しい夜は続きます。