代官山のフレンチ、『メゾン ポール・ボキューズ』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
シャンパーニュ、ソーテルヌ、プイィ・フュイッセと飲み進み、いよいよデカンタージュしておいた赤を味わうことにする。
ブルゴーニュのドメーヌ・ダニエル・リヨンが造る、ニュイ・サン・ジョルジュ、プルミエ・クリュ、レ・オー・プリュリエ、2003年。
ダニエル・リヨンはニュイ・サン・ジョルジュの名手といわれ、ヴォーヌ・ロマネ、シャンボール・ミュジニー、ニュイ・サン・ジョルジュに合わせて18haの畑を保有している。
ベリー系の豊かな香り。
最初の一口は随分固く、果実味があまり感じられない。
ゆっくり馴染ませていると、どんどん変化する。
赤い果実、黒い果実に加え、腐葉土やなめし皮のニュアンス。
さらに時間が経つと、タンニンは綺麗に果実味に溶け込み、出汁のニュアンスも現れる。
ぶどうの平均樹齢は45年で、栽培はフォソン・アンテグレ。
リュット・レゾネよりもビオロジックに近いそうだ。
熟成はオーク樽で15カ月、新樽比率は45%。
メイン料理は、二人とも同じものを選んだ。
特選牛フィレ肉のロッシーニ、ペリゴール風。
素晴らしい香り。
見るだけで口いっぱいに唾液が溢れる。
フィレ肉をざっくり二つに切り分けると、素晴らしい火入れ加減。
「美味しい。最高だわ。ピノにも良く合うわね」と彼女。
「君と一緒に味わうロッシーニ、至福の時間だね」と私。
まだピノが残っているので、フロマージュのワゴンを出してもらう。
好きなフロマージュを選ぶと、先﨑支配人が切り分けてくれる。
選んだフロマージュは、彼女も私も全く同じ。
これは私のプレート。
ウォッシュは、ノルマンディー地方のポン・レヴェック。
青カビは、オーヴェルニュ地方の、ブルー・ド・ヴェルニュ。
ハードは、フランス東部のジュラ山脈一帯で造られる、コンテ。
シェーブルは、ロワール地方のサント・モール。
フロマージュを食べ終え、ピノを飲み干すと、デセールワゴンが届く。
彼女が選んだのは、ガトーショコラ、サヴァラン、タルトタタン、ガレット、洋梨のコンフィチュール、マカロン、マドレーヌ、トリュフチョコレート。
私が選んだのは、ガトーショコラ、サヴァラン、ウッフアラネージュ、プラムのコンフィチュール、ガレット、トリュフチョコレート。
ウッフアラネージュは、ポール・ボキューズのスペシャリティ。
サヴァランはリキュールが効いて美味い。
ガトーショコラは好物。
ガレットもトリュフチョコレートも美味いが、お腹はもういっぱい。
濃いコーヒーがいっぱいになったお腹を癒してくれる。
この金のカップが好きだ。
メーカー名を見たことがなかったので、今夜は調べてみることに。
すると、Hiramatsuの名前が。
特注品で、メーカー名は入っていない。
「今夜も美味しかったわ。ありがとう」と彼女。
「今夜はポール・ボキューズさんを偲ぶ、良いディナーになったね」と私。
先﨑支配人、入砂料理長に見送られ、店をあとにする。
『メゾン ポール・ボキューズ』を出ると、旧山手通りを下る。
ファミマに立ち寄ると、彼女はサラダを幾つも購入。
私がビニール袋を持ち、恵比寿駅まで散策することにする。
向かい側には、『リストランテASO』。
「ね、ASOには何時来ることにしていたかしら」と彼女。
「うん、今月末に予約を入れているよ」と私。
代官山で彼女と過ごす楽しい夜は素敵に更けて行きました。