神楽坂のフレンチ、『ル・コキヤージュ』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
スパークリング、ロゼをグラスで飲んだあとは、さらにグラスで白を注文。
ラングドック、ミネルヴォワのシャトー・ド・リューが造る、レ・ヴァンダンジュ・デュ・ドメーヌ・ルジェ、ヴィオニエ、2016年。
シャトー・ド・リューは1870年創業で、このボトルは創業者のガブリエル・ルジェの名前を冠したキュヴェ。
華やかな香り、ふくよかな果実味。
ヴィオニエの自然な旨味を体現した素晴らしいボディ。
エチケットに書かれた数字は、ぶどうの収穫日を示している。
魚料理は、真鱈のポシェ、サフランソース。
茹でられたふわふわの真鱈が美味い。
赤はボトルで注文。
選んだボトルは、ブルゴーニュ、コート・ド・ニュイのフィサンに本拠地を置く、ドメーヌ・ドゥニ・ベルトーが造る、フィサン、2014年。
2013年からドメーヌを継いだ現当主、アメリー・ベルトーは7代目。
評価の高い女流醸造家だ。
コルクは長さも品質も良好。
香りにも問題無し。
ラズベリー、ブラックベリー、カシス、スミレのニュアンス。
複雑なストラクチャーを持ち、滑らかなタンニンとしっかりとした酸を持つ。
ぶどう栽培はビオロジック、発酵は天然酵母。
大樽で12カ月間熟成されている。
肉料理は二人とも同じものを選択。
蝦夷鹿もも肉のロースト、カシスソース。
血の香りが食欲を掻き立て、Beastになった気分。
彼女と私は見た目はBeauty and the Beastだが、実は彼女の方が肉食系。
血の香りがするこの赤身がたまらなく美味い。
肉料理に合わせ、新しい熱々のパンが届く。
デセールは、”世界最高峰のヴァローナのテリーヌ・ドゥ・ショコラ”。
ヴァローナ社のクーベルチュール・チョコレートを100%使用しているのだそうだ。
濃厚なチョコレートテリーヌは最高に美味い。
ここの名物で、お土産に買うこともできる。
「ビストロも好いわね。ここ好きよ。今夜もありがとう」と彼女。
「ビストロの醍醐味は、メイン料理のヴォリュームだね」と私。
「そうね、今夜の蝦夷鹿も綺麗な赤身でたっぷりの量が嬉しかったわ」
「そして今夜の君も綺麗で美味しそうだよ」
店から出ると、暗い夜空に神楽坂仲通りのサインが明るく浮かび上がっている。
毘沙門天は改修を終え、朱がとても美しい。
彼女と過ごす神楽坂の夜は素敵に更けて行きました。