向ヶ丘のニュージーランド・ワインの聖地、『NZ BAR』でちぃさんとアペロの続き。
クロ・アンリのソーヴィニヨン・ブランのお供に、チーズをお願いする。
店のオーナーの行天(ぎょうてん)さんが、「今日はチーズを幾つか切らしてしまい、済みませんが三種類しかありません」とのこと。
出されたのは、イタリア、ロンバルディア地方のウォッシュタイプ、タレッジョ。
フランス、サヴォワ地方のハードタイプ、アボンダンス。
そしてフランス、オーヴェルニュ地方の山羊のセミハードタイプ、フーシュロラ・ド・シェーヴル。
二杯目のグラス・ワインは、セントラル・オタゴのフェルトン・ロードが造る、ヴァン・グリ、セントラル・オタゴ、2016年。
フェルトン・ロードはピノ・ノワール造りで評価の高いワイナリー。
ピノ・ノワールのブロック・シリーズや単一畑シリーズは、入手困難なワインである。
色合いは、ロゼとオレンジワインの中間。
ピノ・ノワールをマセラシオンしているのかと思ったら、違っていた。
ピノを全房圧搾し、果汁のみを発酵させているのだそうだ。
ワイルド・ベリーやフランボワーズの香り。
複雑なストラクチャーを持つ、引き締まった辛口。
シュール・リーで熟成させている。
ぶどうはピノ・ノワール100%で、栽培はビオディナミ。
店の奥には、大きなウォークイン・ワインセラー。
ここで選んだワインを、少額のグラス代をプラスするだけでイートイン・スペースで飲むこともできる。
ここの温度は12℃。
暑い季節には、まずセラーでゆっくりワインを選び、ワインには申し訳ないが、身体を冷やしてからセラーを出て飲むことにしている。
飲んでみたい素晴らしいニュージーランド・ワインが揃っていて見飽きない。
面白いエチケットのワインを見つけた。
ドン&キンデリがネルソンで造る、ラ・ゾラ、シャルドネ、2016年。
オレンジ・ワインである。
壁にはここを訪れたニュージーランドの造り手のサインが所狭しと書き込まれている。
このサインは、私が好きなグレイ・ワッキとドッグ・ポイントのもの。
さて、ディナーの予約時間が近付いたので、店を出ることにする。
行天さんが外まで出て見送ってくれる。
「オーナーさんはイケメンですね」とちぃさん。
「行天さんはハンサムだし、奥さんも素敵な方ですよ」と私。
『NZ BAR』を出ると、雨の勢いが増している。
激しい雨のため、東大弥生キャンパスの農正門にも人影は無い。
この雨ではタクシーの空車は見当たらない。
言問通りを根津に向かって下る。
右が本郷キャンパスで、左が弥生キャンパス。
予約している根津のワイン・ビストロ、『TAMAYA』に着いた頃には、雨は少し小降りになってきた。
住宅街の中に、お店がポツンとある。
階段を上った階が、ワインショップ。
その上の階が、ワイン・ビストロ。
ちょっと見には、ここがレストランだとはわからない。
今日は、『NZ BAR』といい、この『TAMAYA』といい、隠れ家的なお店をハシゴ。
予約時間より少し早く着いたので、1階のワイン・ショップをチェック。
ここは高級ワインのコーナー。
そして特売品コーナー。
思わず買ってしまいそうになる。
階段を上り、上の階のレストランへ。
前回来た時は、このカウンターで深酒してしまった。
開店直後に入店したので、他に客は居ない。
ところが30分もすると、予約客で満席となってしまった。
白とロゼのワインを飲んできているので、赤ワインで乾杯。
ちぃさんが優しい赤を飲みたいということで、ミディアム・ボディのピノ・ノワールを選択。
選んだワインは、またニュージーランド。
マールボロのダッシュウッドが造る、ピノ・ノワール、2016年。
ラズベリー、フランボワーズ、レッドチェリーの華やかな香り。
酸と柔らかなタンニンを持つ、綺麗なミディアム・ボディ。
エチケットに描かれている花はポフツカワ、クリスマスツリーという名前で知られる真っ赤なブラシのような花である。
最初の料理は、16品目野菜のデトックスサラダと人参のドレッシング。
葉物野菜だけでなく、根菜類、南瓜、ブロッコリー、ベイビーコーン、トマト等も入っている。
続いて、フワッととろけるスモークサーモン、ライムクリーム添え。
これは取り分けが難しそうだ。
サーモンよりも、ライムクリームを掬い取ってアレンジするのが難しい。
このサーモン、スモークと言うより低温真空調理。
本当にとろける美味しさ。
根津の『TAMAYA』でちぃさんと過ごす楽しい夜は続きます。