銀座の何時ものフレンチ、『ブラッセリー ポール・ボキューズ』で彼女と楽しむ寛ぎディナーの続き。
スパークリング、サンセールを飲んだあとは、ボルドーの赤。
リストラック・メドックのシャトー・フォンレオー、2009年。
評価の高いブルジョア・シュペリュールである。
リストラック村は、ジロンド川左岸、メドック地区の内陸部にある、最近注目のAOC。
シャトー・フォンレオーは”王の泉”という名の、1855年に建設された美しいシャトーを持つ。
17世紀には既にセラーが造られていた歴史ある場所である。
2009年はグレート・ヴィンテージ。
プラムやカシスの果実味のあとに、黒い土、スパイス、シャンピニヨンのニュアンス。
熟成感と円やかなタンニンのバランスも絶妙。
セパージュは、カベルネ・ソーヴィニヨン53%、メルロー43%、プティ・ヴェルド4%。
サンセールも美味しいのでさらに注いでもらい、シャトー・フォンレオーと白赤の飲み較べ。
仔羊鞍下肉のロースト、マッシュルームのラビオリとボルドレーズ、コニャック風味のジュソース。
仔羊の香草焼きの香りが良い。
ラビオリは美味しそうというより、ちょっと不気味。
ディジェスティフは、ボルドー、サント・クロワ・デュ・モンのシャトー・デュ・モン、2011年。
サント・クロワ・デュ・モンは、ソーテルヌの対岸にある貴腐ワインの名産地。
レモンの香りのあとに、パッションフルーツ、デーツ、マンゴー、アプリコット、そして余韻には蜂蜜のニュアンス。
樹齢60年のセミヨン100%で造られた、素敵な貴腐ワインである。
デセールは、青リンゴのコンポート、シブースト仕立て、キャラメルのアイスクリームとともに。
シブーストは、カスタードクリームとメレンゲを合わせ、上面をキャラメリゼして焼いたお菓子。
青リンゴのコンポートはゼラチンで固められている。
キャラメルのアイスクリームとの組み合わせも楽しい。
「今夜の星野シェフのお料理も美味しかったわね」と彼女。
「今度はキープしているワインを飲みに来ようよ」と私。
「じゃ、次はモンジャール・ミュニュレね」と彼女は嬉しそう。
何時もはブラックだが、今夜は生クリームを加えたい甘い気分。
竹内支配人、星野料理長、大友ソムリエに挨拶し、満ち足りた思いで店をあとにする。
夜になっても靄がかかったような感じ。
銀座東急プラザも、その先のエルメスもぼんやりとぼやけている。
それとも私が酔っているだけなのだろうか。
銀座東急プラザの照明の色彩が美しい。
1階のバリーは光量が強すぎてハレーションを起こしてしまい、写真に撮ると何時もバリーの文字が見えなくなっている。
近くまで来ると、ぼんやりしていたエルメスの輪郭もはっきりと見える。
銀座四丁目のショーメは仮本店だったが、本店の改装が終わったため、通常の四丁目店に戻っている。
天賞堂のキューピットは今夜も裸でかくれんぼ。
寒い冬は可哀想に思えるが、暑くなると私もこんな自由な姿になりたいと思ってしまう。
グッチのマネキンは派手な衣装をまとっている。
カジュアルなグッチのマネキンたちは、世界平和をアピールしているようだ。
四丁目交差点まで来た。
銀座プレイスが明るく輝く。
銀座和光では日本画家、福田千惠(ふくだせんけい)展が開催されている。
彼女と過ごす銀座の夜は素敵に更けていきました。