丸の内のフレンチ、『サンス・エ・サヴール』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
ここは、フランスで最年少で三ツ星を獲得し、20年にわたって星を維持し続ける双子のシェフ、ジャック&ローラン・プルセル兄弟の東京店。
テーブルの上には、可愛い生け花。
プルセル兄弟の料理を受け継ぐ鴨田シェフの料理は、今日も冴えている。
三皿目の前菜は、鳥取県産原木椎茸とポルチーニのヴルーテ、玉蜀黍のエスプーマ。
藁で燻したフォアグラのタルティーヌ、サマートリュフのアクセント。
フォアグラのタルティーヌとは最高の贅沢。
藁の薫香が食欲を誘う。
二種類目の白ワインは、ロワールの名門、ドゥ・ラドゥセットが造る、プイィ・フュメ、2009年。
ラドゥセット男爵が率いる名門で、ロワール最大の造り手。
先に飲んだ白、シャトー・モンテュス・ブランと出す順番が逆ではないかと思い、石井ソムリエに質問する。
「仰る通り、普通は順番が逆です。今夜は、次に出る料理との相性を考え、敢えてこの順にしました」と石井さん。
柑橘やハーブの香り。
強い果実味と熟成感を持ちながら、綺麗な酸と活き活きとしたミネラルを持つ素晴らしいプイィ・フュメ。
やはりドゥ・ラドゥセットは美味い。
ソーヴィニヨン・ブランの最高峰、バロン・ド・エルを久し振りに飲みたくなった。
福井県美浜漁港直送活け絞め鱸の蒸し焼き、茄子とレモンのコンポテ、トマトのグリエ、セート風ヤリイカのリソール、ブイヤベースのジュー。
滋味豊かなソースと鱸の白身が良く合う。
とても濃厚なソースだ。
確かに、これに濃厚なシャトー・モンテュス・ブランを合わせると大変なことになる。
スッキリとした酸味とミネラル感のあるプイィ・フュメを合わせて正解だと、石井さんに伝える。
赤ワインは、ドゥ・ラドゥセットと同じくロワールの造り手のもの。
アルフォンス・メロが造る、サンセール・ルージュ、ラ・ムシエール、2010年。
アルフォンス・メロはサンセールで19代続く名門で、サンセールでは最大の造り手。
ファースト・アタックはラズベリーやブラックベリー、その後からバラやなめし皮のニュアンス。
活き活きとしたミネラル感が素晴らしい。
ラ・ムシエールは、サンセールの丘の最上部にある南西向きの最上の畑の名前。
ぶどうは、ピノ・ノワール100%。
ロワール川右岸のプイィ・フュメと左岸のサンセールの飲み較べ。
こんな飲み方も楽しいものだ。
千葉県産黒毛和牛サーロインのロティ、アメリカンチェリーのオ・ブール、新玉葱のキャラメリゼ、ジャガイモとシヴェのクルスティヤン、林檎と根セロリのピュレ、人参のピュレ、ブルゴーニュ風ジュー・ド・ブッフ。
サーロインの焼き色が美しい。
口の中でとろける美味しさ。
白いピュレは、林檎と根セロリ。
オレンジのピュレは、人参。
アメリカンチェリーのオ・ブールも美味い。
プレデセールは、ジャスミンのロワイヤルとライチのエスプーマ、青森県産カシスのクーリソース。
アペリティフに使われた青森カシスがデセールにも使われている。
横から見ると、グラスの中に層状に盛られている。
デセールは、長野県産リュバーブの焼き立てショーソン。
そしてバニラのアイスクリーム、ガナッシュショコラのアクセント。
食後の飲み物は、ハーブティー。
もうお腹はいっぱい。
今夜のワインも素晴らしかったので、グラスで10杯以上も飲んでしまった。
飯田支配人、鴨田シェフ、石井ソムリエに今夜の礼を述べ、見送られて店を出る。
丸ビルの地下1階までエレベーターで降りると、地下通路を通って新丸ビルに。
彼女の翌朝のサラダを買いに、成城石井に向かう。
丸の内で彼女と過ごす夜は、素敵に更けていきました。