六本木の国立新美術館内にある『ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ』が長い営業休止を経て、ようやく再開。
休業要請期間を過ぎても、国立新美術館が閉館していたので営業できなかったのだ。
夕方になっても夏の陽は長い。
久し振りの国立新美術館に心がワクワクする。
黒川紀章氏設計のフォルムが美しい。
黒川紀章氏は多くの美術館を設計しているが、氏の生前に完成した最後の美術館である。
エントランスを入り、奥のエレベーターに向かう。
『ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ』はこの上にある。
エレベーターを三階で降りると、店と本館を結ぶブリッジに進む。
このレストランには天井も壁も無く、空中に浮いているような作り。
密を避けるには最適のロケーションだ。
四人用のテーブルに、斜向かいにテーブルセッティングがされている。
私の席からは、正面に六本木ヒルズ。
松尾支配人が「外から来られると暑いでしょ」とダイソンのサーキュレーターを出してくれた。
空調は美術館全体で行われているので、まだ身体が火照っている私には嬉しい配慮。
それにしても、隣のテーブルまでの距離が半端なく、5m以上はある。
このナプキンを見ると、今夜の料理とワインへの期待感が膨らむ。
彼女を待つ間に、松尾支配人がベリーニを作って出してくれた。
ピーチネクターをクレマンで割って作ったカクテルが美味い。
彼女が到着すると、冷えたスパークリングワインを抜栓し、乾杯。
「今夜は私が好きなロゼのクレマンなのね」と彼女は嬉しそう。
ヴーヴ・アンバルの、クレマン・ド・ブルゴーニュ、ロゼ、ブリュット・ミレジム、2016年。
ブルゴーニュを代表するクレマン専門メゾンのロゼ・ミレジムは美味い。
ここのバゲットは少し細め。
フィセルと呼んだ方が良いかもしれない。
フランスから生地を冷凍で輸入し、ここで焼かれている。
カレー風味の鶏のリエット。
これが美味しいのでパンが進んでしまう。
鴨のテリーヌ、カンパーニュ風。
鴨フォアグラのポワレとじゃがいものクレープ。
オレンジ風味のサラダ添え。
ポール・ボキューズの料理にはフォアグラは必須の品。
濃厚で美味い。
鴨のテリーヌも好きだ。
濃厚な料理には、オレンジの爽快感が心地良い。
クレマンはまだ残っているが、魚料理に合わせて白ワインも抜栓。
アルザスの名門、トリンバックが造る、リースリング、キュヴェ・パルティキュリエール、プール・ヒラマツ、2015年。
リースリングを選ぶことはそれほど多くないが、トリンバックのこのリースリングは好きで良く飲んでいる。
フランスの三ツ星レストランの全てでオンリストされている理由がわかる美味しさだ。
仙台産スズキのロースト、夏野菜のコンフィとブラックオリーブのプードル、ホワイトバルサミコ風味のフレッシュトマトソースとビストゥーソース。
スズキのローストの上には、ブラックオリーブのプードル(粉末)。
ピストゥスープは、ニンニク、バジル、オリーブオイルで作るプロヴァンスの冷たいソース。
夏らしい美味い一品だ。
トリンバックのリースリングとも良く合い、既に三杯目。
今夜は飲み過ぎになりそうだ。
彼女と過ごす、国立新美術館の『ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ』で彼女と過ごす楽しい夜は続きます。