六本木の国立新美術館にある『ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
国立新美術館の長期の休館により、このお店も長期の休業を余儀なくされたので、本当に久し振りの訪問。
飲んでいるワインは、ヴーヴ・アンバルのクレマン・ド・ブルゴーニュ、ブリュット・ロゼ、ミレジム、2016年。
そしてアルザスのトリンバックが造る、リースリング、キュヴェ・パルティキュリエール、プール・ヒラマツ、2015年。
クレマン・ロゼのボトルはこれで飲み干し、トリンバックのリースリングのボトルも残り少なくなってしまった。
肉料理用には、クリュ・デュ・ボジョレーのバックヴィンテージを抜栓。
ジョルジュ・デュブッフのフルーリー、キュヴェ・プレステージ、2005年。
まだこの2005VTが残っていたとは驚き。
クリュ・デュ・ボジョレーは、ボジョレー地区で品質が高い10のアペラシオンの総称。
この中でも、ムーラン・ナ・ヴァンやフルーリーが好きだ。
ブラックベリーやカシスの香り。
15年間の熟成を経て、濃厚な熟成感と果実味、そこに綺麗な酸が合わさって上質のボディを形成している。
ガメイがあまり好きでない彼女も、このフルーリーは美味しいとのこと。
牛フィレ肉のグリエ、西洋山葵のジュー・ソース、季節の野菜とリヨン風マカロニグラタンと共に。
マカロニグラタンは別皿で届く。
これがまさにリヨンでの食べ方。
泡も白も充分に飲んでいるのだが、やはり肉料理には濃厚な赤が合い、グラスを重ねてしまう。
牛フィレ肉の焼き加減が抜群に良い。
柔らかく、旨みが凝縮された肉だ。
トリンバックのリースリングとジョルジュ・デュブッフのフルーリーの並行飲みも楽しい。
デセールが届く。
ヨーグルトとマンゴーのムース、パッションフルーツのクーリー、ココナッツのアイスクリーム。
食べ過ぎ飲み過ぎだが、デセールは別腹。
ココナッツ・アイスクリームに飾られた乾燥パイナップルが可愛い。
お腹いっぱいと言いながら、彼女も完食。
ヴーヴ・アンバルのクレマンに続き、トリンバックのリースリングもボトルを空けてしまった。
そしてジョルジュ・デュブッフのフルーリーも三杯目か四杯目。
今夜は飲み過ぎだと思っていたところ、支配人の松尾さんが、ディジェスティフにどうぞとサイドカーを持ってきてくれた。
写真を見るだけで酔っていることがわかる。
〆は濃厚なコーヒー。
酔っていても、コーヒーカップに書かれた”ポール・ボキューズ”さんのサインには焦点が合っている。
今のスマホのカメラは性能が良い。
満ち足りた思いで店をあとにする。
今まであんな崖っぷちで食事をしていたのかと、酔った目で見ると怖い気もする。
美術館はとっくに閉館しており、真っ暗。
上から見下ろすと、エントランスの照明も消えている。
ということは、今夜も非常口から外に出るということだ。
前庭に新しくできたガラスの茶室が暗闇に明るく浮かび上がっている。
二人で肩を並べ、東京ミッドタウン六本木に向かう。
「今夜は酔っちゃったから少し歩きたいな」と彼女。
ミッドタウンガーデンを散策することに。
日中は暑くても、夜が更けると夜風が気持ち良い。
二人とも今夜はすぐには電車に乗りたくない気分。
赤坂まで来てしまった。
山王日枝神社。
駅の表示があっても、どちらからもここで地下鉄に乗ろうと言い出さないまま歩き続ける。
結局、赤坂、溜池を抜け、霞が関まで来てしまった。
もうすぐ先は日比谷。
彼女と過ごす、いっぱい食べていっぱい飲んで、いっぱい歩いた素敵な夜でした。