9月初旬、大好きなフレンチ・レストランで久し振りに食事をすることにした。
彼女とはお店で待ち合わせ。
六本木通りを西麻布方向に歩いてお店に向かう。
ここが今夜のディナーのレストラン、『オーベルジュ・ド・リル トーキョー』。
前身は伝説的名店、『ザ・ジョージアンクラブ』。
イギリスのジョージ王朝様式で、設計から竣工まで10年の歳月を費やして建設された。
6,000本の収容能力を持つ地下セラーが備えられている。
エントランスの上には、『オーベルジュ・ド・リル』の名前。
さらにその上には、”FORTUNA DOMUS MEA”というラテン語の銘文。
”我が幸福はこの家と共に在り”には、この邸宅を建てた前オーナーの想いが込められている。
エントランスを入ると、「高原様、お待ちしておりました。お連れ様がこちらでお待ちです」とバーに案内される。
驚いたことに、彼女がもう到着していた。
時計を見ると、まだ予約時間の数分前だ。
一階から螺旋階段を下り、メインダイニングに進む、
テーブルの数がかなり減らされている。
私達のテーブルは、一番奥。
壁には多くの絵画が並ぶ。
ここはフランス、アルザスの三ツ星レストラン、『オーベルジュ・ド・リル』の東京店。
1952年から星を守り続ける名店である。
大きな丸テーブルに二人分のセッティング。
マスクはマスクケースにしまい、バックに入れる。
部屋の照明が落とされているので、写真の色がセピア色に写ってしまう。
最初のワインはシャンパーニュ。
ルイ・ロデレール、ブリュット、プルミエ。
「ルイ・ロデレールを久し振りに飲みたいって、先週言ったばかりなのに。嬉しいわ」と彼女。
そう、ルイ・ロデレールを飲むのは久し振り。
確か前回一緒に飲んだのは、六本木の『金魚』でだった。
フレッシュでありながら、濃厚な果実味と熟成感、何度飲んでも素晴らしいシャンパーニュだと思う。
セパージュは、ピノ・ノワール40%、シャルドネ40%、ピノ・ムニエ20%。
瓶内熟成期間は36ヶ月以上と長い。
メニューの表紙の水彩画は、創業者で先代のポール・エーベルラン氏の作品。
全部で50枚ほどあるそうで、時々絵が差し替えられている。
現在のオーナー・シェフは、息子さんのマルク・エーベルラン氏。
『トロワグロ』、『ポール・ボキューズ』、『ラ・セール』等の名店で修業し、弱冠23歳の若さで『オーベルジュ・ド・リル』の料理長を引き継いでいる。
アミューズが届く。
タルトフランデは、ピッツァのようなアルザスの郷土料理。
グジェールの中には、鶏のリエット。
ピンが刺さっているのは、ひよこ豆のクロケット。
二種類のパンが届く。
バターは冷やされた大理石プレートに乗って出される。
ピントが合っていない。
オマール海老と彩り豊かなトマトのサラダ仕立て。
一番上にはモッツァレラのムース。
その下にはたっぷりのオマール海老。
ソースには三種類のトマトが使われている。
オマール海老の旨みにトマトの酸味が絡んでとても美味い。
オマール海老が美味しくシャンパーニュが進む。
既に三杯目。
と思ったら、次の料理に合わせたワインも注がれる。
彼女と過ごす『オーベルジュ・ド・リル トーキョー』の素敵な夜は続きます。