銀座のフレンチの名店、『アルジェント』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
5種類目のワインは、ボルドーの赤。
シャトー・ロワラン、サンテミリオン、グラン・クリュ、2009年。
ボルドー右岸の素晴らしいワインの素敵なヴィンテージ。
畑はシャトー・アンジェリュスに隣接するという好立地。
濃厚な黒果実の果実味と熟成感、強いがヴェルヴェットのようにしなやかなタンニン。
長い余韻を持つ、洗練された素晴らしいボディ。
セパージュは、メルロー80%、カベルネ・フラン20%。
黒毛和牛、海苔。
まるで太巻きのようなヴィジュアル。
今夜の料理は最初の牡丹海老と最後の黒毛和牛が寿司のイメージ。
鈴木シェフの遊び心満載の料理だ。
マグロに見立てた牛肉の真っ赤な焼き色が食欲をそそる。
真ん中にある白っぽい四角は、フォアグラ。
パイ皮の内側はマグロの中落ではなく、牛肉のペースト。
ソースも手が込んでいる。
バターソースに焼き炭をジュっと漬け込み、五島列島の魚醤を加えているのだそうだ。
添えられているのは、ペコロスのロースト。
窓の外はすっかり夜の帳に覆われている。
こちら側から見るとシャネルは真っ暗。
茶色はカルティエで、その先に明るく輝くのはブルガリ。
ダイニングにもベルナール・ビュフェの絵画。
デセールは、苺、蕗の薹。
白は、練乳とベルガモットのムース。
緑のヘタはチョコレート。
赤は、苺のジュレのムース。
中に苺のジュレが入っている。
小さいのは本物の苺。
濃厚なコーヒーがいっぱいになった胃を癒してくれる。
ミニャルディーズは、大きな真っ赤なハートのマカロン。
「今夜も美味しく楽しいお料理だったわね」と彼女。
「鈴木シェフの遊び心満載の料理だね。見た目だけでなく、しっかり和の技法も取り入れているところが素晴らしいね」と私。
鈴木シェフは京都東山、高台寺・十牛庵の藤原料理長に和食の技法を学んでから、料理の幅が一層広がっている。
時短営業中なので、そろそろ席を立つことにしよう。
ダイニングの最後の客となってしまった。
ベルナール・ビュフェの代表作の一つ、闘牛士エスカミリオに見送られ、席を立つ。
ダイニングの隣には、長い廊下。
この左側に広いホールがある。
リーデル・タワーの後ろに回り、階段に進む。
9階のダイニングから8階のレセプションに向かう階段の周りはガラス張り。
酔って下ると目が回りそうだ。
鈴木シェフと挨拶を交わし、見送られて『アルジェント』をあとにする。
マロニエ通りに出ると、銀座通り方面に向かう。
二丁目交差点にはそこそこの人出。
ルイ・ヴィトンのショーウインドーには巨大な像。
上から見下ろされているようだ。
四丁目交差点から帰途に就くことにする。
彼女と過ごす銀座の素敵な夜でした。