京橋の「アーティゾン美術館」でちぃさんと過ごす、企画展鑑賞の楽しい午後の続き。
この企画展の最後、セクションⅥでは二人の写真家と雪舟の水墨画のコラボ。
このセクションだけは4階で展示されている。
照明を落とし、ほとんど真っ暗な展示室の中に、三人の作品が並ぶ。
柴田敏雄、「グランドクーリーダム、ダグラス郡(ワシントン州)」(1996年)。
シカゴ現代美術館の依頼によって制作された作品。
グランドクーリーダムは、ワシントン州のコロンビア川に建設されたアメリカ最大のダム。
鈴木理策、「White 07, H-17 & H-18」(2007年)。
柴田敏雄の作品は黒が支配し、鈴木理策の作品は白の世界。
黒い人造物と白い自然の対比が面白い。
雪舟の掛け軸が四幅。
雪舟の絵の実物を間近で見ることが出来る機会は滅多にないので、時間をかけて鑑賞する。
雪舟、「四季山水図(春幅)」(室町時代 15世紀)。
雪舟等楊(1420-1506)は室町時代の禅僧の画家。
雪舟、「四季山水図(夏幅)」(室町時代 15世紀)。
当時の日本の水墨画は精緻で整った様式だったが、そこに雪舟は豪胆な筆使いで独自の空間表現という革新をもたらした。
雪舟、「四季山水図(秋幅)」(室町時代 15世紀)。
雪舟、「四季山水図(冬幅)」(室町時代 15世紀)。
久し振りに見る雪舟の水墨画はその前に立つだけで心が穏やかになる。
墨だけで四季を表現するにはどれだけの技量が求められるのだろうか。
長々と記したが、”写真と絵画-セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策”の鑑賞記はこれで終了。
ところで、「アーティゾン美術館」の4階~6階には、常設のオブジェクトも置かれている。
これは、6階の展示品。
田中信太郎、「ソノトキ音楽ガキコエハジメタ」(1986年)。
スイスホワイト光壁、真鍮プレート、ビアンコ大理石彫刻、ブビンガ木彫刻。
5階には、二つの作品。
エジプト・テーベ(ルクソール)、「セクメト神立像」(新王国時代第18王朝、アメンヘテブ3治世 1390-1352B.C.)
花崗閃緑岩あるいは花崗岩。
アリスティド・マイヨール(1861-1944)、「欲望」(1905-08年)。
ブロンズ。
5階の踊り場から3階の受付階を見下ろす。
ここで椅子に腰かけひと休み。
4階にも二つの作品。
クリスチャン・ダニエル・ラウホ(1777-1857)、「勝利の女神」。
大理石。
衣装の柔らかな質感まで感じられる素晴らしい彫刻だ。
清水多嘉示(1897-1981)、「石橋正二郎氏之像」(1970年)。
石橋正二郎氏はブリヂストンの創業者であり、石橋財団の創設者。
鑑賞を終え、4階から3階に下る前に見送ってくれるのは、デジタルコレクションウォール。
画面は右から左に流れ、知っている作品、今観てきた作品が次々と現れるので、しばらく立ち止まり見入ってしまう。
京橋の「アーティゾン美術館」でちぃさんと過ごす楽しい美術の旅は続きます。