代官山のグラン・メゾン、『メゾン ポール・ボキューズ』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
アミューズ・ブーシュが届く。
色合いが美しい。
サーモンのタルタルとフロマージュのムース、レモン風味のクレーム、トマトのガスパチョ。
フロマージュのムースがどこにあるのかと思ったら、サーモンのタルタルの下、トマトのガスパチョの中に隠れていた。
フロマージュ、サーモン、レモン風味のクレーム、そしてトマトのガスパチョの優しい味の組み合わせが素晴らしい。
合わせて飲んでいるのは、ドゥラモット、シャンパーニュ、ブラン・ド・ブラン、プール・ヒラマツ。
アントレは驚きのヴィジュアル。
彼女曰く、「バルタン星人みたい」。
彼女の口からウルトラ怪獣の名前が出てくるとは驚き。
ラングスティーヌのナージュ、爽やかなプイイ・フィッセのジュレ、フヌイユの軽いクレームと共に。
ナージュは魚介類を煮た茹で汁を使った料理。
ナージュは泳ぐことを意味し、たっぷりの茹で汁を使うことが特徴。
ラングスティーヌの頭と爪は一尾分だが、身は二尾分が使われている。
「ミラノで毎日スカンピ(ラングスティーヌ)を食べ歩いたことを思い出すわね」と彼女。
ミラノ旅行も楽しかった。
ラングスティーヌに合わせるワインは、ル・セック・ド・レイヌ・ヴィニョー、2017年。
ソーテルヌ格付け第一級のシャトー・ド・レイヌ・ヴィニョーが造る、辛口の白。
レイヌ・ヴィニョーは1635年創設の名門。
84haもの広大な畑を有し、ヴィーガン認定を取得している。
輝きのあるレモンイエロー。
レモン、グレープフルーツなどの柑橘系の香り。
洗練された果実味と柔らかな酸、微かなハーブのニュアンス、グレープフルーツの皮の苦み。
ソーテルヌとしては珍しく、ぶどうはソーヴィニヨン・ブラン100%。
パンとバターが届く。
パンのお共はエシレバター。
出されたエシレバターは、これと同じ大きさのドゥ(無塩)。
この一つを二人にカットして出されている。
(写真はエシレ・メゾン・デュ・ブールのH.P.からお借りしました。)
ポワソンは、天然鱸と紋甲イカのポワレ、キャビア・ド・オーベルジーヌ、ピストゥーの香るブールブランソース。
天然鱸と紋甲イカの組み合わせとは面白い。
添えられているのは、アスパラソバージュの新芽。
紋甲イカを横に外すと、その下には鱸。
ブールブランソースに加え、バジルのソースも使われている。
ビストゥーは南フランスの方言でバジルのこと。
ブールブランソースに紛れているのは、キャビア・ド・オーベルジーヌ。
茄子と黒オリーブとニンニクで作るキャビア・ド・オーベルジーヌは、貧乏人のキャビアと呼ばれるフランスで定番の惣菜。
茄子の種がキャビアに見えることから名付けられた。
二種類目の白ワインは好きな造り手の上級クラス。
ブルゴーニュ、コート・シャロネーズのクローディ・ジョバールが造る、リュリー、プルミエ・クリュ、レ・クルー、2015年。
クローディ・ジョバールはブルゴーニュで人気の女性醸造家。
自らのドメーヌに加え、ブルゴーニュの名門ネゴシアン、ルモワスネの醸造責任者を務める。
熟した洋梨、パイナップル、熟成からくる軽いエステル香。
果実の素晴らしい凝縮感、心地良い酸、活き活きとしたミネラル、長い余韻。
クローディーのプルミエ・クリュの2015VTは最高に美味い。
リュリーのシャルドネ(左)とソーテルヌのソーヴィニヨン・ブラン(右)の並行飲み。
こんな飲み方も楽しい。
代官山のグラン・メゾン、『メゾン ポール・ボキューズ』で彼女と過ごす素敵な夜は続きます。