シカゴは、現代アートと古き良き時代のアートが併存する街である。
特にアーキテクチャーにその素晴らしさが現れている。
『ロウリーズ』でいっぱいになったお腹を癒すため、夜のダウンタウンを散策。
何があるのか聞いてみると、ミシガン湖の花火大会を観るために、船に乗るのだと言う。
一緒に行かないかと誘われたが、今夜は花火で騒ぐより、のんびり過ごすことにする。
もう夜も遅い時間だが、街はまだこんなに明るい。
この開放感が心地よい。
シカゴのダウンタウンでは、どこを見回しても古き良き時代のビルと、近代的なビルが同じ構図に入る。
シカゴで最も美しいと言われているリグリー・ビルディングの後ろには、トランプ・インターナショナル・ホテル&タワーが見える。
とても現実とは思えない二つのビルの併存。
まるで20世紀初頭の写真と21世紀の写真を合成したみたいだ。
リグリー・ビルの高さは、時計塔の部分で30階、121メートルもある。
それに対し、トランプ・タワーは92階建てで、尖塔部分で415.1メートル、ウィリス・タワーに次いでアメリカで2番目の高さを誇る。
シカゴ・リヴァーを南に渡ると、トランプ・タワーが一望できる。
中には、商業施設、ホテル、コンドミアムが入っている。
20世紀初頭と21世紀の写真を合成したみたいだと書いたが、まさにリグリー・ビルが完成したのは、時計台のある南側が1921年、北側が1924年。
一方、トランプ・タワーの完成は2009年なのだ。
リグリー氏はチューインガムで財を成し、リグリー・ビルを建設した。
そしてトランプ氏は不動産で財を成し、世界中にトランプ・タワーを建設している。
ミシガン・アヴェニューをサウスに入り、更に歩を進めるとミレニアム・パークに出る。
公園内には仮設のレストランが造られ、多くの人々が音楽の演奏を聴きながら食事を楽しんでいる。
と、不思議な像が現れた。
大きな人の頭部である。
私の身長は顎にも届かない。
横から見ると割と平坦な顔だが、照明のせいか、不思議な存在感がある。
シカゴの街では、季節季節で色々な展示物が街にできる。
一昨年は、マリリン・モンローが地下鉄の通気口の上でスカートを抑えている有名な構図の巨大な像がトリビューン・タワーの前に出現した。
スカートの下に立って写真撮影をした時は、気恥ずかしかったことを覚えている。
壁には大量の水が流れ落ちている。
ひと夏だけの幻想的な世界を演出している。
そしてもう一対の壁には、東洋系の老人の顔がはめ込まれている。
しばらく観ていて驚いた。
顔が笑ったのだ。
反対側を振り向くと、先程の壁の裏側には黒人の少年の顔があった。
何とも奇妙な感覚を与える趣向である。
特に今年の初頭は信じられないくらいの寒波に襲われ、氷点下35℃を記録した。
それだけに、街中が夏を思いっきり満喫しているように感じる。
さて、再びシカゴ・リヴァーを北に渡り、ホテルに戻ることにしよう。
では、お休みなさい。