ちょっと遅めの夕食に出かけることにする。
『グランド・ハイアット』のロビー・ラウンジには、美しい歌声が響き渡っている。
純白のピアノを弾きながら歌っているのは、金髪の美女。
写真を撮っていると、彼女は私を残してエントランスにさっさと行ってしまった。
ホテルのキャナル・ウォーク側では、噴水ショーが繰り広げられている。
音楽に併せ、噴きあげられた水がリズミカルに踊るのだ。
眺めていたいが、レストランの予約時間に遅れるといけないのでホテルを後にする。
向かった先は、警固にあるフレンチ・レストラン、『ル・フラマンローズ・アムリタ』。
牛島さんが経営するお店で、ブルゴーニュ・ワインの品揃えが素晴らしいのだ。
このお店、どこにも名前が出ていない。
フラマンローズ(フラミンゴ)がワイン・グラスになった小さな絵だけがここにお店があることを示している。
前の店にも彼女と二人で来ているが、ここに来るのは初めて。
店内は広く、落ち着いた空間を提供している。
ここでは、オーナーの牛島さんと話しながら食事ができるカウンター席が最上の場所。
前の店はイタリアンだったが、ここはフレンチ。
ワインがシャンパーニュとブルゴーニュなので、フレンチの方が自然だ。
私の好みを知っているので、的確に良い選んでくれるのだ。
今夜牛島さんが薦めてくれたシャンパーニュは、シャルル・エドシック、ブリュット・リゼルヴ。
シャルル・エドシックの創業は、1851年。
シャンパーニュ・メゾンとしては4番目に古い歴史あるメゾンである。
その特徴は、徹底した品質へのこだわり。
平均10年以上の熟成を経たリザーヴ・ワインを40%もアッサンブラージュし、地下20mにある室温10℃のセラーでの3年間の熟成を経てリリースされている。
そのため味わいは深く複雑で、まさにダンディな男のためのシャンパーニュだと、私は勝手に思っている。
ミュズレには、創業者の肖像画が描かれている。
これでコレクションがひとつ増えた。
色合いは輝く黄金色。
しっかりとした熟成感と、ぶどうの凝縮感。
それでいてきりりと引き締まった辛口。
まさに大人のシャンパーニュである。
セパージュは知らないが、ピノ・ノワールとピノ・ムニエの黒ぶどうの比率がとても高いようだ。
博多、警固の『ル・フラマンローズ・アムリタ』で彼女と過ごす素敵な夜の続きは、また明日。